7月19日にひらかれた日本共産党第六回中央委員会総会で志位和夫書記局長がおこなった幹部会報告と結語はつぎのとおりです。
みなさん、おはようございます。衛星通信をごらんになっている、全国の同志のみなさんにも、ごあいさつを申し上げるものです。
私は幹部会を代表して、この中央委員会に対する報告をおこないます。
まず総選挙の結果についてであります。わが党は、総選挙で、森・自公保政権への審判、ゆきづまった自民党政治への審判をくだすことを訴えるとともに、「国民が主人公」の新しい日本をめざす「日本改革」の提案を、正面から訴えて選挙戦をたたかいぬきました。
わが党の総選挙での結果は、無法な謀略を中心とした空前の反共攻撃などのきびしい条件のなかで、議席を二十六から二十に後退させました。得票も、比例代表では、前回総選挙に比べて五十五万票減らし、六百七十二万票となりました。
きびしい条件のもとでのたたかいではありましたが、結果として前進がかちとれなかったことはたいへん残念であり、党躍進を願う人々の期待にこたえられなかったことについて、党中央として責任を痛感しています。
同時に、投票してくださった有権者のみなさん、日夜をわかたず奮闘をされた党員、後援会員、支持者のみなさんに、心からの感謝を申し上げるものであります。(拍手)
後退したとはいえ、全国すべての比例ブロックで議席を獲得し、それぞれの地域と国会を結ぶ党の代表を確保することができたことは、たいへん重要であります。小選挙区のたたかいでは、議席を得られませんでしたが、得票の合計では、前回を二十六万票上回る七百三十五万票という衆議院選挙での過去最高の得票を得ることができました。比例代表の六百七十二万票という得票、得票率で一一・二%という結果も、後退したとはいえ、前々回までのいずれの衆議院選挙の得票をも上回るものであります。過去の記録との比較をみますと、三十九議席に躍進した七二年の総選挙が五百七十万票、一〇・九%、四十一議席に躍進した七九年総選挙が、五百七十六万票、一〇・七%ですから、今回の総選挙の得票はこれらの峰を上回っています。これらは、つぎの前進にむけた土台になりうるものだと考えます。
わが党は、この結果をふまえ、ゆきづまった政治の打開を願う広範な国民の期待にこたえるために、新しい国会で公約の実現をめざして全力をつくすものであります。
選挙戦全体の結果の特徴では、政権与党が議席でも得票でも、国民のきびしい拒否の審判をうけたことが重要であります。
与党は全体で六十五の議席を減らしました。得票でも比例代表でみると、与党の合計が四二%、野党の合計の五七%と、逆転しました。この流れをつくるうえで、わが党が、論戦で果たした役割は、大きなものがありました。与党のいう「絶対安定多数」なるものは、小選挙区制という民意をゆがめる制度のうえにつくられた虚構の多数にすぎません。
とくに自民党の衰退が著しいのが特徴です。公明党との選挙協力をおこなったにもかかわらず、自民党は、単独では議席の過半数を確保できませんでした。比例代表の得票率では、二八%と戦後最低におちこみました。自民党の衆議院選挙での得票率を、だいたい十年ごとに見ますと、一九六〇年の総選挙が五八%、七二年の総選挙が四七%、八〇年の総選挙が四八%、九〇年の総選挙が四六%だったのが、九〇年代の十年間を通じて激減させ、はじめて得票率二割台を記録することになりました。そこまでおちこみました。
もはや自民党は、かつての自民党ではありません。創価学会を最大の支援団体とし、その顔色をうかがい、自力では選挙をたたかえない政党におちぶれました。創価学会にいわば“生殺与奪の権”をにぎられている現状について、自民党内からもその支持基盤からも、深刻な危機感が広がっています。
全体としてこの結果には、自民党政治の深刻なゆきづまりがしめされています。自民党とその補完勢力が、二十一世紀の日本の政治をになう力も資格も喪失しつつあることは、いよいよ明瞭(めいりょう)です。わが党は国民から不信任をつきつけられた森・自公保政権にきびしく対決し、政治の民主的転換をめざして奮闘する決意をあらたにするものであります。
つぎに総選挙総括の基本的方向について報告します。
選挙後、党内外から選挙結果についてたくさんの意見がよせられました。私たちはその全体についてつぶさに読み、検討を重ねてきました。
選挙の総括と教訓については、この中央委員会では、基本的な方向を明らかにすることにとどめ、つぎの中央委員会、党大会にむけて、党内外のみなさんの意見にさらに耳をかたむけて、その総括と教訓を全面的に明らかにしていきたいと考えます。
総括は、取り組みの問題点を勇気をもって直視するとともに、清算主義におちいらず、今後に生きる積極的奮闘を正しく評価する、そういう姿勢でのぞみたいと思います。そういう立場からのみなさんの自由闊達(かったつ)で率直な討論をお願いします。
総括の基本的な方向として、三つの問題をのべます。
第一は、政策論戦についてであります。わが党は今度の選挙戦で、あらゆる分野でゆきづまった自民党政治を国民本位に切り替える「日本改革」の提案を、広く国民に訴えて、選挙戦をたたかいぬきました。
わが党が「日本改革」の提案として訴えた内容――これはミニ・パンフレット『私たちはこんな日本をめざしています』にも凝縮して盛り込んだわけですが――、「逆立ち財政の転換をはかる」「国民の暮らしを守るルールをつくる」などの経済の改革、安保廃棄を大目標としながらそれ以前にも一歩一歩平和の道を切り開くという外交の改革、子どもと教育の問題や少子化対策など社会の改革、憲法の進歩的原則を大切に守って新しい日本への改革をすすめることなどの内容は、党綱領の路線を今日の情勢にそくして具体化したものにほかなりません。
党綱領の路線を今日的に具体化した内容を、全有権者規模で語る、しかも訴えの中心において本格的に語り抜くという選挙は、わが党の歴史のなかでもはじめての経験でありました。そのことのもつ意義はきわめて大きいと思います。
じっさい「日本改革」の提案が、これまでにない幅広い社会層の共感を得たことはまぎれもない事実であります。それはミニ・パンフレットによせられたこれまでにない多くの国民の共感の声や、この提案をもって経済界や宗教界をふくめ、これまで党が接触点をもたなかったさまざまな団体、個人と対話を広げ、多面的な一致点が確認されたことにもしめされています。
自民党政治のゆきづまりからの打開の方策を、全面的・具体的にしめして選挙戦をたたかった政党がほかにあるでしょうか。これは日本共産党だけでありました。わが党の改革の提案は、今後の日本の現実の政治の展開のなかでいやおうなく大問題になることであり、日本の政治の民主的打開の道をしめしたものとして必ず生きて力を発揮するものであると確信します。(拍手)
第二十一回党大会で確認した二十一世紀の早い時期に民主連合政府をうちたてるという目標を実現するためには、日本の民主的改革の展望について、国民多数の合意をつくりあげていくことが不可欠の前提となります。それにむけて本格的一歩をふみだす政策論戦に取り組んだことを、おおいに全党の確信にしようではありませんか。(拍手)
同時に、党の決定、方針にてらして政治論戦をふりかえってみたとき、いくつかの問題点がありました。
一つは、消費税増税問題のうちだしについてです。
この問題を最大の争点としてうちだしてからは、財政破綻(はたん)のもとで広がっている国民のなかの増税への不安ともかみあい、「訴えがしやすくなった」とたいへん歓迎されました。政権与党をおいつめ、増税勢力の狙いを浮きぼりにしていった論戦は、わが党ならではの先駆的論戦であって、今後のたたかいにとってもきわめて大きな意義をもつものでした。
同時に、この問題の本格的なうちだしが、衆議院解散以後になったため、国民全体に問題の焦点が十分に浸透しきれたとはいえなかったことも事実であります。
五中総決定では、「日本改革」の提案を語るとき、「根本的な改革の展望を示しつつ、緊急の課題の打開策を提起」することを強調しています。四月におこなった全国都道府県委員長会議でも、「国民の熱い関心や切実な要求と結びつけて、これ(日本改革の提案)を語るということが重要」だということを強調しています。
切実な課題と根本的改革を結びつけて訴えていくということは、くりかえし確認してきたことでありました。広範な無党派の人々の心をつかむうえでも、そういう人々に端的にアピールする熱い課題と結びつけてこそ、「日本改革」の提案が威力を発揮することになります。
消費税問題は、「日本改革」の提案でのべられている経済・財政の改革と、国民生活が直面する切実な問題とのまさに熱い接点であり、早い時期から選挙戦の大争点にしていくための努力が必要でありました。
二つは、「政権の枠組みの選択」論への対応についてであります。
こんどの選挙戦で政権与党の側は、「自公保政権による安定か、民共政権による混乱か」という架空の土俵をつくることによって、みずからの悪政を隠し、日本共産党を「混乱」をもたらす「元凶」として攻撃する戦略をとりました。マスコミも「政権の枠組みの選択」が選挙戦の最大の争点であるとするキャンペーンを大々的におこないました。
これを打破する論戦の方向は、五月の都道府県委員長会議で明瞭にされていました。この会議の報告では、自公保連立の政治と、日本共産党の「日本改革」の提案と、「どちらが、国民にとって安定であり、どちらが混乱・破綻なのかを、政策の中身で明確に対比する、これが第一の勝負」であると強調しています。
この方針にそくして、自公保連立という「政権の枠組み」が国民にとっていかに有害で危険なものであるかを、政治の中身で正面から告発し、わが党への攻撃をはねかえしてその値打ちを押し出す攻めの論戦が必要でありました。しかし、全有権者を対象とした宣伝物などでは、この問題を攻勢的に解明することは十分とはいえませんでした。
三つは、野党批判の問題についてであります。
四中総決定、五中総決定では、総選挙を「自自公(自公保)反動体制にたいする厳しい審判」とともに、「どの野党がのびれば政治を変える力になるか」、この「二つの角度」から国民の審判をあおぐ選挙として位置づけてきました。そして「競争相手としての野党批判」はためらわずおこなうことをくりかえし確認してきました。
適切な野党批判があってこそ、野党一般でなく、わが党の値打ちを光らせ、わが党がのびることの意味を国民に説得力をもって訴えることができます。「競争相手としての野党批判」ということは、わが党にとっても新しい課題であって、それを具体化するためには、いっそうの努力と探究が必要であったし、今後も必要であります。
三つの角度から教訓をのべました。これらを今後の政治論戦のいっそうの発展と党の新たな前進の力として生かしていくことが大事だと考えます。
政治宣伝の内容や手段について、そのほかにも選挙後、党内外からさまざまな意見と提案がよせられています。日常的な宣伝活動のあり方について、テレビのコマーシャルや新聞広告などの活用について、インターネットの効果的な活用について、政見放送の内容の改善についてなどであります。政治宣伝の内容はもちろん、印象という点での研究も必要だという意見もありました。
これらについては、その財政的裏付けをどうするかをふくめて、今後の積極的な研究課題としていきたいと考えます。
第二は、反共攻撃とのたたかいについてであります。
今回の総選挙の最大の特徴は、政権与党が政策論争を回避し、日本共産党の躍進をなんとしても押しとどめようと、選挙史上例のない、無法な謀略的手段を中心においた一大反共キャンペーンをおこなったことにありました。
出所不明の謀略ビラ・パンフレットが、解散直後、公示直前、投票日直前の三波にわたって、全国でいっせいに配布されました。その宣伝物は、わが党が現在把握しているものだけでも、全国で六十四種類、推定で一億数千万枚にのぼっています。くわえて、ビデオ、書籍、新聞広告、口コミ、政権与党幹部のテレビでの発言や演説などの形で、同じ内容の日本共産党攻撃が大規模におこなわれました。
この攻撃は、計画性、組織性、卑劣な謀略性などの点で、みぞうのものでありました。謀略ビラ・パンフレットが早くから周到に準備されたものであったことは疑いありません。あれだけのものを一夜にして作れるはずはありません。早くから計画的に、内容も彼らなりに「練って」つくりあげ、まく準備を整えていた。「表」の舞台でおこなわれた「政権の枠組みの選択」論と結びついた党攻撃は、「裏」の舞台での謀略的攻撃と表裏一体の攻撃であり、相乗的な効果を発揮しました。そして、拡声機を使ったパンフレット宣伝の禁止という公職選挙法の改悪は、反共反撃の手段を大きく制約することになりました。
この影響は、広範で深刻なものでした。党へのあたたかい期待が広がるという流れが、この攻撃がおこなわれるもとで変化し、有権者のなかにとまどいや反応の冷たさなどが広がりました。とくに、党に新しい関心や期待を持ちつつあった無党派層にあたえた否定的な影響は大きなものがありました。党員や支持者のなかにも、デマ攻撃の氾濫(はんらん)のなかで、自信を持って足を踏み出せない状況が、一部につくられました。
わが党はこの攻撃にたいして、全体として積極果敢な反撃をおこないました。
公示第一声から、この謀略的攻撃を、選挙を汚し、日本の民主主義を破壊するものとして厳しく糾弾し、国民の審判を呼びかけてたたかいました。
わが党は、謀略ビラを作製、配布しているのが政権与党――自民党、公明党と、創価学会であるということを、数多くの事実をもとにつきとめ、この三者に対する公開質問状を提起しました。まともな回答はどこからもありませんでした。自民党からは、回答がありませんでした。公明党は、「回答しない」という返事でした。創価学会は、公開質問状を受けとることすら拒否しました。これらの対応は、みずからがこの無法な攻撃の実行者であることを、みずから明らかにすることになったと思います。
私たちは、謀略ビラに反撃し、わが党の値打ちを押し出す「しんぶん赤旗」号外を作製し、広く国民に堂々と真実を伝える取り組みを展開しました。「号外」は謀略ビラの民主主義破壊の卑劣さを告発するとともに、謀略ビラの個々の攻撃の論点にも端的に答えるという道理をつくした内容のものであり、大きな役割を発揮しました。
全国の党組織と多くの党員、後援会員のみなさんが、怒りと気概をもって立ち上がり、この「号外」を配布し、対話をおこない、無法な攻撃に立ち向かう勇気あるたたかいをおこなったことに、心からの敬意を表したいと思います。(拍手)
反共攻撃とのたたかいの重要性は、五中総決定でも強調されていましたが、その後おこなわれた大阪と京都の政治戦の教訓をふまえて、三月の全国会議で、反共攻撃とのたたかいの特別の重要性を明らかにしたことは、総選挙での反共攻撃とのたたかいにとって大きな意義を持つものとなりました。
しかし、全有権者の規模でまき散らされた反共毒素を一掃するには、時間が足らなかったのが実情でした。新たな攻撃を打ち破るためには、選挙中の取り組みにとどまらない日常不断の取り組みが求められます。
反共キャンペーンは、大別して二つの内容でおこなわれました。
一つは、日本共産党の未来論にかかわっての攻撃です。“日本共産党は最終的に資本主義や天皇制を廃止しようともくろんでいる危険な政党だ”というように、党が、社会発展の未来の展望として位置づけていることを、いまの改革の課題とごっちゃにし、“日本共産党がいったん政権に参加すれば国民の意思を無視して勝手に大変なことをすすめる”というデマ宣伝と結びつける、これがこの攻撃の特徴でした。
いま一つは、謀略ビラやパンフレットに典型的にあらわれた、デマを前面に押し出しての反共攻撃です。“暴力革命の党”とか、“一党独裁の党”などという、わが党の歴史をねじまげ、綱領路線とはまったく無縁なデマ攻撃をただいいつのる、これがその内容でした。
わが党は、選挙戦のなかの論戦で、これらの攻撃にたいして道理に立った反撃をおこないましたが、こういう攻撃を国民的規模で打ち破るためには、日本共産党の歴史と綱領路線を国民的規模でかたり、広く理解を求めていく取り組みに、日常不断に本腰を入れて取り組むことが必要になっていると思います。このことを、私たちは今度の選挙戦からの重大な教訓として確認したいと思います。
謀略選挙を一掃することは、わが党にとってのみならず、日本の民主主義全体にとって切実な課題となっています。謀略的な攻撃はわが党に集中しましたが、公明党・創価学会と対立関係にある他党の候補者も、無法な攻撃にさらされた例がありました。
選挙後、一部のマスコミや識者からも、「ルール無視の愚劣な選挙妨害」、「民主主義を否定する言語道断の行為」、「ナチスがおこなった謀略行為とまったく同等」など、これを民主主義を脅かす危険として指弾する声が広がっています。
ある著名な評論家は、わが党との懇談の中で、「あれだけ勢いがあったはずの共産党が、なにゆえにマイナスになったのか、おおいに疑問だった」が、謀略ビラの主なものを選挙後にみて、「正直に言ってひどい驚きを感じ、今回の総選挙結果に納得した」として、つぎのようにのべています。
「重要なことは、それがひとり日本共産党に向けられたものではないということである。日本の自由と民主主義全体に向けられたものであると言ってよい。その意味では、いまや自民党は共産党攻撃と共産党弾圧を擁護する点でもはや『自由主義勢力』ですらなくて、全体としては保守政党でもなく、右翼反動という危険な本質を持つ集団になっているというべきだろう」
こういうきびしい指摘です。謀略選挙の実態を徹底的に究明し、この無法を国民的世論によって包囲し、孤立させるたたかいに、わが党は全力をあげて取り組みたいと考えるものであります。
今日の新たな反共攻撃は、政権与党が国政の舵(かじ)取りの能力を失い、どの分野でもゆきづまり、体制維持の危機感をつのらせているもとで、おこなっているものであります。たいへんな危機感がその背景にあります。
それだけにそれが異常な執念をもって計画され、いわば恥も外聞もかなぐり捨てて実行されていることを、いささかも軽く見ることはできません。
とくに、公明党・創価学会という反共主義で最も突出した集団が、政権の一角をしめることで、政権与党全体が“反共的暴走”をはじめていることは重大です。
公明党と連立したことで、自民党の反動的変質がいちだんと進みました。公明党・創価学会は、権力の庇護(ひご)のもとにおかれたことで、かねてからの反共と謀略の体質をいっそう危険なものとしました。この反共・反動同盟による攻撃の危険性を正面からとらえ、正面から立ち向かうことがいま求められています。
わが党が政権を担う党に成長するためには、この新たな反共攻撃をうちやぶることは避けてとおれない試練であります。
選挙後、全国各地で若い人々が、この攻撃自体に怒りを燃やし、わが党に入党する例があいついで生まれています。わが党の躍進は、それを押しとどめようとする反動をよびおこしましたが、その反動をのりこえてさらに躍進をかちとることにこそ歴史を切り開く党の一員としてのたたかいがいがある――こう私たちは考えるものであります。
第三は、党の質的・量的な力量についてであります。
選挙後の全国の同志からの感想を見ますと、選挙結果についての常任幹部会声明がのべた、「どんな攻撃がおこなわれても、それをはねかえして、国民本位の国政改革をすすめる力をもつ、量質ともに強大な日本共産党の建設」の重要性を痛感した、という声が圧倒的に多いのが特徴です。
強大な日本共産党の建設――この思いは、この選挙をたたかった同志の共通の痛切な思いだと思います。
この間、わが党は、「党の政治的影響力と組織的地歩のギャップ」、「政治的前進に組織の実力が追いついていない」(五中総決定)という現状を指摘し、それを前向きに打開することが総選挙での躍進のために不可欠となることをくりかえし確認し、党勢拡大の取り組みをおこなってきました。
昨年六月の四中総がよびかけた「大運動」では、「支部を主役」とした総合的な活動を発展させながら、党勢拡大の取り組みでも端緒的な前進を記録しました。今年一月の五中総では、この取り組みを一過性に終わらせず、継続・発展させることをよびかけましたが、残念ながらこの分野で前進をかちとれないまま総選挙をたたかうことになりました。今回の総選挙での後退の根本には、この党建設での立ち遅れがあることは明瞭です。
この間、わが党は、総選挙や参議院選挙で、七百万票台から八百万票台の支持者を獲得してきました。しかし、その中で、私たちの日常的な活動の網の目で何らかの結びつきがある人々は部分に限られています。かなりの人々、おそらく二百万、三百万という人々は、私たちが活動の中で直接結びついていないが、さまざまな形で党の姿を知り、投票してくださった人々だと思います。党が前進していく過程では、そういうギャップが生まれるということは当然ありうることですが、そのギャップを前向きに埋めて、支持してくださった人々の全体と結びつくような党に成長していってこそ、さらに躍進をかさねる確かな保障がつくられるのではないでしょうか。
この取り組みにわが党は、まだ全体として成功しているとはいえません。その間隙(かんげき)、ギャップを、反共勢力はついてきているのであります。反共謀略攻撃とのたたかいでも都道府県からの報告でこういうものがありました。「まわりに共産党員がいて説明を受けた人は、はっきり党支持を表明していて、ああいう反共謀略にも大きく揺らいでいない。そういうつながりがなかった人々のなかで、投票態度を変えた人々がかなりいるということが、後になってわかった」。こういう報告であります。これも選挙戦をたたかった多くの同志のみなさんの実感ではないでしょうか。ここにいま、党が思い切って打開すべき大きな問題があると、私たちは考えるものであります。
もちろん、量的な建設とともに、質的な建設が大切であります。「日本改革」の提案、さらに党の綱領路線と歴史について、党員みんなが語る力をもち、どんな攻撃があってもそれに揺るがず、確固として跳ね返す力をもった党への成長が求められていると思います。
党の基礎的力量とともに、党が持てる力量を出し切ってたたかったのかも、吟味が求められる問題であります。
わが党は五中総決定で、「どの活動でも、躍進した参議院選挙の二倍以上、三倍以上の奮闘をやろう」ということを確認しました。この構えで新しい境地を開き、得票の前進をかちとっている組織も、部分ではあるが生まれました。しかし、全体としてみますと、党の選挙戦の運動量の一つの目安となる対話・支持拡大では、前回総選挙と同水準、参議院選挙よりも低い水準にとどまりました。
厳しい条件のもとでの選挙ではありましたが、党がその持てる力を出し切っての結果であったかどうかは、吟味が必要だと思います。
選挙後、都道府県委員会から次のような率直な報告が寄せられています。
少なくない県からあった報告ですが、選挙に対する構えという点での受動主義が残されたという報告が寄せられました。「まさか比例で減ることはないだろう」、「比例での議席増はあたりまえ」という考えが最後まで払拭(ふっしょく)しきれず、みずからの力で前進への道を切り開く必死の取り組みをつくる指導が十分つくされなかった。こういう率直な反省もありました。
それから、「比例を軸に」、すなわち日本共産党支持の大波を起こすことを土台にしてこそ、小選挙区のたたかいでも活路が開けるという見地がなかなか徹底せず、小選挙区単位の狭い取り組みから情勢をみる、あるいは活動を組み立てる、こういう問題点があったという反省も、一連の県から寄せられました。
それから、小選挙区の体制に幹部を配置することに手いっぱいで、支部への指導体制がたいへん弱くなった。「支部が主役」といっても、実際には、それを十分に保障する体制がつくれなかったという報告も、数多くの県からありました。
全党の力をあまさず引き出す党機関の指導と活動のあり方の改善ということについては、中央の各部門の取り組みをふくめて、率直な自己吟味が必要だと考えるものであります。
以上が、現時点での総選挙総括の基本的な方向であります。全党の討論で、これをおおいに深めていただきたいと思います。おたがいに、後退から深い教訓を引き出し、謙虚に学び、きたるべき選挙戦で必ず前進へと転ずる糧をつかみとっていこうではありませんか。(拍手)
つぎに、当面する政治問題についてのべます。
総選挙後の情勢の進展の特徴は、わが党が選挙戦で訴えてきた争点が、国政の現実の生きた焦点となっていることにあります。
ここでは、当面する緊急の政治問題についての、わが党の立場をのべておきたいと思います。
まず、公共事業をめぐる汚職と利権構造についてであります。
総選挙直後に中尾元建設大臣が、受託収賄罪で逮捕されるという事件が起こりました。これは、公共事業を食い物にする自民党政治の実態が、氷山の一角としてあらわれたものとして重大であります。
選挙中の論戦で、わが党は、年間五十兆円に異常膨張した公共事業について、五十兆円という総額の段階的半減、生活・福祉型への内容の転換、という二つの改革の提案をおこないました。
それに対して与党側は、「公共事業に無駄がある」ということを認めたものの、総額を圧縮することは頑として認めない、こういう態度に終始しました。いま、「景気対策」として彼らが進めようとしていることも、相も変わらずのゼネコンむけの公共事業積み増しが中心です。
政権与党が、公共事業の異常な現状にしがみつく根底に、腐敗と利権の構造があった、このことを今回の中尾事件はしめしています。
わが党は、この重大な汚職・疑惑について、司法まかせにせず、国会が徹底的に究明をおこなうことを強く求めるものであります。あっせん利得処罰法案の早期成立はもちろん、腐敗の根源である企業献金を禁止することが急務となっています。さらに、この事件を契機として、公共事業の浪費と利権の構造に本格的改革のメスを入れるために、全力をつくすものであります。
つぎに、「そごう」問題と大銀行救済の枠組みについてです。
乱脈経営の限りをつくしてきた「そごう」の不始末のために、巨額の国民の税金を投入することに、国民の怒りが広がっています。
政府与党は、国民の怒りを前に、当初の計画を変更し、「そごう」に民事再生手続きの申し出をおこなわせ、「そごう」は事実上倒産し、法的処理に形式は変わりましたが、「そごう」の不始末の穴埋めに巨額の国民の税金が投入されることには変わりはありません。むしろ、投入される税金の額は、当初の計画に比べても増加するといわれています。
今回の事件は、七十兆円の税金を使った大銀行支援の枠組みがいかに不合理なものであるかを天下にしめすものになりました。この七十兆円の枠組みをつくるさいに、それを推進した勢力は、「預金者保護のため」、「金融システム安定のため」ということを口実にしました。しかし、いま目の前で起こっていることは、どう説明しようと、それとは無関係な一流通企業の不始末を、税金で穴埋めするという不合理そのものではありませんか。
乱脈経営で破綻した銀行や不良債権の処理は、ほんらい、銀行業界の共同の責任と負担でおこなうことがルールでありました。このルールを壊して「穴があいたら税金で」という、仕組みに置き換えてしまったことが、今回の事態につながっています。この仕組みのもとで、政府は「一時国有化」した長銀の損失を税金で穴埋めしたうえに、外国資本に売却するさいに、追加損失がでたらそれも税金で穴埋めするという契約まで結びました。ここには、国民の税金を使うことへの恐るべき無責任と無感覚があります。
この七十兆円の枠組みは、一昨年、自民党とわが党以外の野党が一体になってつくったものでしたが、これを推進したすべての勢力に、厳しい反省がいま求められています。
わが党は、どんな形であれ、「そごう」処理への税金投入に反対し、この事件を契機として、七十兆円の銀行支援の枠組みそのものの撤廃を強く求めてたたかいます。大銀行がみずからつくった不良債権や破綻銀行の処理は、銀行業界の自己責任でおこなうという当然のルールを確立することを、強く要求するものです。
つぎに、消費税増税の問題についてのべます。
総選挙での論戦で、わが党は、政府与党が、選挙後に消費税増税の計画を進めようとしていることを厳しく追及してきました。選挙後の政府与党の動きは、わが党の警告と追及が的を射たものであったことを実証しつつあります。
政府税制調査会は、七月十四日に、「中期答申」を発表しましたが、そこには「高齢化社会への対応」として、消費税増税の方向性を明瞭に打ち出すとともに、所得税の課税最低限の引き下げ、赤字の中小企業にも重くのしかかる法人事業税の外形標準課税という“増税の三重苦”がもりこまれました。
森首相は、この税調答申について、「結論的には大賛成」とのべ、実現に取り組む姿勢を鮮明にしました。民主党、社民党など野党陣営からも、答申の方向に大筋同調する態度が表明されています。
消費税増税派は、「高齢化社会のため」を主な口実にしています。しかし、当面の社会保障財源をまかなうには、公共事業の浪費と無駄をただし、社会保障へと財政の優先順位を変更すれば可能であり、消費税増税の必要がないことは、わが党が総選挙にむけて発表した財政再建政策でも明らかにしたとおりであります。
さらに、日本が高齢化のピークを迎える将来的な展望としては、税制の抜本的な改革が必要となりますが、その方向は、所得税、法人税など直接税中心、生計費非課税、総合・累進課税という税制の民主的原則にたった税制再建こそ必要であります。
消費税については、国民的立場に立った財政再建を軌道にのせるなかで、あくまでその減税、廃止を追求するというのが、わが党の変わらない立場であります。
与党と一部の野党から消費税の「福祉目的税化」を求める声が強まっていますが、どんな形であれ、いったん消費税と社会保障をリンクさせる道に踏み込めば、社会保障費用の増大を理由に自動的に税率を引き上げるレールが敷かれることになります。わが党は、この考え方には、絶対に反対であります。
消費税増税をはじめとする庶民増税の是非は、当面する国政上の最大の問題となっています。わが党は庶民の暮らしを破壊し、景気と経済を破壊するこのくわだてを許さないために、広い国民的な共同のたたかいをよびかけるものであります。(拍手)
つぎに、沖縄サミットについてのべます。
わが党は、世界の首脳とマスコミが集まるこの機会に、沖縄の米軍基地の異常な実態とその解決を世界にむかってアピールすべきであると主張し、党としてそのための「報告と訴え」を広く世界に訴える取り組みをおこなってきました。
しかし、日本政府がとっている態度は、沖縄の基地問題の解決どころか、この機に基地の強化・永久化をはかろうというものです。
名護の新基地問題でも、新任の防衛庁長官が「十五年の期限は無理」という本音を漏らすなど、「十五年期限」という自民党自身の公約が、何の裏付けもないものであり、最新鋭基地を建設し、永久化することこそ、ことの真相であることが、いよいよ明瞭になりました。
米兵による少女わいせつ事件をはじめ、沖縄に駐留する米軍の目に余る横暴勝手が最近とみにひどくなっていますが、それにたいしても、首相は、「政府がどうこうできることではない」と発言するなど、主権国家としてまともに抗議し、まともな是正を求める姿勢のかけらすら見られません。
米軍への「思いやり」予算についても、日本政府はいったんは財政危機を理由に減額を要求する方針を取ったにもかかわらず、アメリカの圧力に屈して、わずか一%のみの「減額」――基本的に現状維持で決着するという恥ずべき結果となりました。
いま、沖縄では、基地の重圧に反対する新たな県民のたたかいが、わきおこりつつあります。わが党は、沖縄の米軍基地の問題をはじめ、日本の米軍基地の異常な実態を引き続き国内でも、国際的にも告発し、この異常をただすたたかいの先頭に立って奮闘するものであります。
この間、朝鮮半島の南北首脳会談が実現し、東アジア地域で平和の激動が起こっているもとで、軍事一本やりで、どの分野でも自主的な外交方針を持てない、日本政府のみじめさはきわだっています。沖縄サミット外相会合でも、ともに参加した国がそろって南北首脳会談を「期待以上の成果だ」と歓迎する中で、日本の外務大臣だけが、「北朝鮮への懸念」を表明するという、異様な態度をとりました。
日本外交を、軍事一本やりから、平和優先の自主的外交に転換させることは急務となっています。
日朝国交正常化交渉も、侵略戦争と植民地支配の過去を清算するという、戦後半世紀にわたって放置されてきた問題についての日本政府としての積極的な立場と政策を明らかにすべきであります。そうしてこそ、ミサイル問題や拉致(らち)問題など両国の紛争問題についても、正しい解決の道が開かれます。
つぎに、党大会をめざす党活動について報告します。
十一月に招集が確認された第二十二回党大会をめざす当面の党活動では、広大な国民としっかり結びつき、反動派のどんな攻撃をも打ち破る力量を持った党をつくる、党建設の課題に、全力をあげたいと思います。
すでにのべたように、このことの重要性は、今度の選挙の痛切な教訓であります。それはまた、選挙戦をたたかった全党の同志のみなさんの共通の切実な願いでもあると思います。
まず、国民の暮らしを守る草の根からのたたかいが、重要であります。
すべての党支部と、党機関が、国民の中に広く宣伝で足を踏み出しながら、「消費税増税を許すな」をはじめ、悪政から国民の暮らしを守る草の根からのたたかいに、意気高く取り組もうではありませんか。
国政の課題とともに、地域や職場の要求も重視し、実現のために積極的に取り組もうではありませんか。そのために、支部が「政策と計画」を充実させることが大切になっています。
新しく選出された二十名の衆議院議員、二十三名の参議院議員、四千四百名をこえる地方議員が、党支部、党組織と一体となって全力をあげて奮闘したいと思います。
私たちは今度の総選挙で、「国民の暮らしを支える政治を実現しよう」ということをスローガンに選挙戦をたたかいぬきましたが、国民の暮らしの守り手としての日本共産党の生き生きとした姿が、全国いたるところで躍動する、そういう壮大な取り組みを展開しようではありませんか。
つぎに、「党員拡大を重点とした党勢拡大の大運動」について提案いたします。
七月五日の常任幹部会の訴え――「活力ある大きな党をつくることは党員みんなの願い――党創立記念の七月、全党が党勢拡大とりわけ党員拡大に思い切ってとりくむことをよびかけます」にこたえた全国の奮闘がいま始まっています。
この取り組みは、もちろん七月だけの課題ではなく、十一月の党大会にむけて一貫して追求すべき課題として、全党の総力をあげて取り組みたいと思います。
そのために、六中総として、「党員拡大を重点にした党勢拡大の大運動」をよびかけるものです。
「党勢拡大大運動」の目標は、支部、地区、都道府県がそれぞれの到達点をふまえ、党大会までに必ず達成する、また取り組みいかんで達成可能な“責任目標”を、自主的に決定することにします。
“責任目標”という言葉は、九六年の総選挙で、比例ブロックの議席獲得目標として決めて、全ブロックでやりきったという経験を私たちはもっていますが、そういう必ずやりきる、そしてがんばりいかんでは可能な目標を決定して、それを実行したい、このように思います。
そのさい、以下の点を目安として重視することが大切であります。
まず党員拡大については、すべての党支部が、その職場、地域、学園に責任をおう政治単位として、どういう党が必要かをしっかり討議し、党員拡大の目標を自主的に決めるようにします。第二十一回党大会以後、新しい同志をむかえた支部は三七%にのぼりますが、新入党員をむかえた支部も、まだむかえていない支部も、すべての支部が、党大会までに一人以上の新しい同志をむかえることを目標にしよう、ということをよびかけるものであります。
機関紙読者については、すべての支部、地区、都道府県が、毎月着実な前進をかちとることを目標にしたいと思います。五月から始まった「しんぶん赤旗」のカラー化は、関係者の努力によって、党内外から大歓迎される成功をかちとりつつあります。親しみやすく読まれる紙面改善に中央としても努力を重ねたいと思います。すべての支部が、魅力をました「しんぶん赤旗」を、党の支持者、党に関心をもつ広大な人々にひろげ、毎月着実に前進をかちとる、このことを目標にして取り組みたいと思います。
党勢拡大の重点課題は、党員拡大とします。党員拡大は、「党建設の根幹」であり、この「根幹」を太く大きくしてこそ、党活動のあらゆる分野をになう根本の力を強めることができます。
昨年の十月の全国都道府県委員長会議で強調したように、わが党の党建設の歴史をふりかえりますと、この「党建設の根幹」を大きくする仕事で、長期にわたって全党的なとりくみの弱まりがありました。
年ごとの成果をみますと、七〇年代から八〇年代の初頭にかけて党員拡大の大きな波があり、毎年数万という入党者をむかえています。その時に入党した同志たちが、いま中堅活動家になって党の活動を支えています。
ところがその後、取り組みに弱まりがあって、約十年間にわたる長期にわたって、大きく増えていない状況が続きました。
九四年の第二十回党大会以後、党員拡大の意識的追求が強まり、後退から、徐々にではありますが前進に転じました。昨年の「大運動」では、一万人ちかい新しい同志を、党にむかえ入れました。しかし、この前進はまだ端緒的なものにとどまっています。
この分野で大きな前進がつくられておらず、反動攻勢の時期の傷あとを大きく残したままになっていることが、選挙活動をふくめ党活動のすべての大きな制約となっています。
さきに総選挙の総括でのべた、党の政治的影響力と組織的地歩とのギャップが未解決であるということについても、その根本には、党員拡大の立ち遅れがあります。いまここでこの立ち遅れを打開し、新しい、若い活力を党にむかえ入れなければ、つぎの展望を開くことはできない、これは全党の同志のみなさんの共通の実感だと思います。
同志のみなさん、全党の力を結集して、この立ち遅れを打開し、民主的政権をにないうる党への前進をめざして、「党勢拡大大運動」の成功のために全力をあげようではありませんか。(拍手)
とりわけ、若い層の中での党員拡大を重視したいと思います。そのさい、若者の多面的な要求、関心にそくして、結びつきを広げ、人間的な信頼関係を強める取り組みを、広い視野にたって取り組むことが重要であります。
今回の総選挙では、「日本共産党とともに日本をかえるネットワーク」が、若々しい力を発揮して、大きな役割を果たしました。選挙をともにたたかった、すべての若い人々に入党を働きかけることが大切です。さらに、日本共産党に期待と関心を寄せるあらゆる若い人々を対象に、大胆に入党を働きかける取り組みを進めようではありませんか。
その取り組みのために、「青年への入党のよびかけ」――「自分を大切に、社会をかえる生きがいある人生を 日本共産党への入党を心からよびかけます」というよびかけを作製いたしました。このよびかけは、若者の願い、関心、要求から出発して、それを実現する道筋と、日本共産党の役割、歴史の大きな展望、人間らしい生き方とは何かということについて、新鮮な筆致で訴えたものであります。大規模な活用をお願いしたいと思います。
わが党は二十一世紀の早い時期に、民主連合政府を樹立することを大目標としておりますが、民主日本の建設者、その担い手となるのは、若い人々であります。若い後継者をこの時期に獲得できるかどうかは、まさに二十一世紀のわが党の盛衰、日本の社会進歩の前途を左右する大問題であります。そういう問題として位置づけて、全党の総力を結集して若い人々を党にむかえ入れる課題にとりくんでいきたいと思います。全国で二百以上つくられた青年支部、また学生支部は、この取り組みの先頭にたっていただきたい。また、この取り組みとあわせて、民青同盟自身の拡大・強化のための、親身な援助をおこなうことを重視したいと考えます。
党建設では、量とともに質の強化が重要であります。総選挙でのたたかいの教訓をふまえて、とくに三つの課題について、ここでは提起したいと思います。
一つは、党の綱領路線と歴史を語る力を、すべての党員が身につけるという問題です。
二十一世紀の早い時期に民主的政権を実現するためには、党の綱領路線そのものへの支持と信頼を国民の多数のなかに広げることがもとめられます。また、今回の総選挙でおこなわれた反共攻撃は、現在の反動体制の命運をかけたものであるだけに、今後もいっそう激しい形でおこなわれることは、避けがたいものであります。従って、それを打破するたたかいも前進にとって不可欠のものとなります。
それだけに、すべての党員が党の綱領路線と歴史を語る力を身につけ、相手の関心や疑問にかみあって、画一的でなく、自分の言葉で自在に党を語り、どんな攻撃がおこなわれても、堂々と前進をかちとれる党に成長することが強くもとめられています。
そのために、第二十回党大会での綱領一部改定報告、第二十一回党大会の諸決定とともに、明日予定されている党創立記念講演会での委員長講演「日本共産党の歴史と綱領を語る」をすべての党員が身につけ、国民のなかにおおいに広げていくことを訴えるものであります。
二つ目に、支部が、読者、支持者と日常的に結びつく体制を強め、確立するという問題です。
今度の総選挙を読者とともにたたかった経験からも、四中総決定と昨年十月の全国都道府県委員長会議が提起した、「支部が読者と日常的に結びつく体制」を強化し、配達・集金の改善をはかる活動を強めることが、機関紙活動の安定的な前進のためにも、読者の力を結集して党活動全体の前進をかちとるためにも、きわめて重要な課題となっています。
読者にとどまらず、広く有権者と日常的に対話を重ね、要求を実現し、日常的に支持者と結びつく体制をつくりあげるために、新しい探究と努力をつくしたいと思います。
三つ目は、週一回の支部会議を必ず開き、一人一人の条件や個性を生かして、全党員が結集する党活動をつくりあげるという問題です。
今回の選挙をふりかえってみましても、進んだ支部ではほとんど例外なく週一回の支部会議を開き、会議の場が、学び、連帯・交流し、成長する場となり、同志たちが力を発揮するかけがえのないよりどころとなっています。
週一回の支部会議を定例化している支部は、全国的にはまだ二割程度にすぎません。これが文字通りすべての支部の党風となって定着すれば、党の力が何倍にもなって発揮されることは間違いありません。この問題も重視して取り組みたいと思います。
最後に、参院選、都議選、中間選挙の問題についてのべます。
ちょうど一年後にせまった参議院選挙は、二十一世紀初めての本格的政治戦として、日本の政治の動向を大きく左右するたたかいとなります。同時期におこなわれる都議選は、都政の前途はもとより、全国的な意義をもつ重要な政治戦となります。その前進のための手立てを、早くからとることが大切であります。とくに政策的な準備、候補者の決定と活動の本格化などに、ただちに取り組みたいと思います。
一つ一つの中間選挙、これは中間地方選挙もありますし、中間的におこなわれる国政選挙もありますが、これを重視し、確実に前進をかちとることもきわめて重要であります。
五中総後の中間選挙の結果は、わが党は差し引きで十二議席増と、全体としては前進しています。同時に得票をみますと、前回よりも得票を増やした選挙は四六%、減らした選挙が五四%となっています。議席での前進とともに、得票でも確実に前進をかちとる、積極的で攻勢的な取り組みが求められます。
同志のみなさん、社会進歩の運動には、ジグザグは避けられません。しかし、国民の立場にたち、社会発展の法則にたったたたかいは、やがて国民の多数になるというのが、私たちの不動の確信であります。総選挙の取り組みから深い教訓を引き出し、党大会にむけての活動、そして一年後にせまった新たな政治戦にむけての活動に、全党が新たな決意と気概をもやしてたちあがり、反共の逆風を突破して、新たな前進を必ずかちとろうではありませんか。(拍手)
結語をおこないます。
きょう一日の会議でしたが、二十人の同志が発言し、全体として充実した討論がおこなわれました。
それから、幹部会報告は衛星通信で、全国の県委員会、地区委員会に送られたわけですが、現時点で、全国で六千人をこえる同志が報告を聞き、私たちのもとに七百人をこえる同志からの感想がよせられています。その大部分は、私たちも読むことができました。
結語として、三点についてふれたいと思います。
第一は、総選挙の総括に関してです。
幹部会報告では、総選挙の総括について、政策論戦、反共反撃、党の力量の三つの問題について、基本的な方向をあきらかにしました。討論でも、感想でも、この三つの問題についての総括の基本的方向については、共通の認識が、だいたいえられたのではないかと思います。
全国の同志からの感想をみましても、「自分の気持ちにかみあった総括だ」という感想が、ひじょうに多いのが特徴でした。「モヤモヤしていたのが、スッキリ整理がついた」とか、「勇気がわいてきた」などの反応もたくさんありました。
たいへん激しい選挙でしたけれども、その選挙を力いっぱいたたかった同志たちの気持ちにかみあって、そして実態にもかみあった、基本的な総括の方向が、この中央委員会で確認できたのではないかと思います。
総括の問題では、いま一つ、総括のすすめ方についても歓迎するという声が全国からたいへん多く寄せられました。
この中央委員会では、総括を中間的総括にとどめて、さらに全党の議論によって深めるというやり方をとることにしたわけでありますけれども、そのすすめ方について「共感する」「歓迎する」という声がたくさん寄せられました。
私たちは、この中央委員会を準備する過程で、厚さにしても二〜三十センチにもおよぶ、内外のみなさんの意見や提言、もちろん辛いものもずいぶんあるわけですが、それをすべてつぶさに読みまして、きょうの中央委員会を準備しました。
そして、きょう六中総への報告がみなさんの承認が得られて決定されれば、それが発表されることになると思いますが、それにもとづいてさらに議論をすすめて、ひきつづいて内外のみなさんの声に私たちは耳をかたむけて、総括を深めたいと思います。
宮城県の岡村県委員長から、「地区委員長の感想や意見もきいてほしい」という提案がありました。この提案は、私たちは実行して、地区委員長の同志全員から、六中総の決定もふまえて意見をもとめたいと思います。
全党の知恵をくまなくくみつくす。それから国民のさまざまな意見にも、謙虚に耳をかたむける。そしてそのことを、われわれのつぎの機会での前進の糧にしていきたいと思います。
第二の点は、反共攻撃にたいする反撃の問題です。
選挙をつうじて、ほんとうに卑劣なかたちで、謀略的な反共攻撃がおこなわれました。そして、それにたいして、私たちは、力いっぱい反撃をおこないました。そして、それをふまえて、きょうの六中総で、反共反撃についても現時点での概括的なたたかいの総括をおこないました。
それにたいする全党の同志のみなさんの受けとめを拝見しまして、みぞうの反共攻撃が、わが党に新たなたたかいのエネルギーを呼び起こしつつあるというのが、私たちの実感であります。
全国の同志から寄せられた圧倒的に多くの声として、「こんどはどんな攻撃がやられてもはねかえすことができる党になりたい」、「党の綱領や歴史を縦横に語れる力を身につけたい」、「党をほんとうに強く大きくして、どんな逆風がきても揺るがぬ党にしたい」、こういう感想がたくさん寄せられました。
私たちは、階級闘争の弁証法がここに働いていると思います。わが党は、この間、大きな躍進の波を起こしました。それにたいして相手側はみぞうの反共攻撃をもって、こたえてきました。それによって残念な後退を私たちは経験したわけでありますけれども、それがまた、わが党内にそれをうちやぶろうという新たなエネルギー、活力を呼び起こしつつある。これはまさに、たたかいの弁証法であります。
全国の同志が共通して言っているのは、“悔しさを力にしたい”という感想です。この声がたくさんありました。この“悔しさ”というものは、道理にたつものが、卑劣な謀略によって後退させられた“悔しさ”ですから、新たな力に転化する性格を持った“悔しさ”です。今度のわれわれの選挙の結果についての悔しい思いを、新たな力に変えて、新たな前進をかちとろうではありませんか。
討論ともかかわって、この間おこなわれている新たな反共攻撃をどうとらえるかについて、一言のべておきたいと思います。
五中総決定では、“党の政治路線と日本社会が求めるものの接近と合致の過程がすすんでいる”という特徴づけをしました。これは、相手陣営にとっては、まさに体制的危機を意味します。その危機を、国民的規模で反共毒素をふりまく、それからまだ日本の社会のなかに沈殿している反共の土壌をほりかえす、そのことによって乗り切ろうというのが、こんどの一大反共キャンペーンです。党の路線と日本の社会が求めるものが接近、合致しつつある過程を、反共攻撃によって壊してしまおう、日本の社会のなかに新たな逆流をつくりだそうというのが、いまおこなわれていることの本質です。
そこに彼らのこの攻撃にかける異常な執念の根本があります。ですからこれにたいする私たちの取り組みも、生半可なものでは打ち返すことはできません。報告でものべたように、日常不断に党の綱領路線や歴史について、広く国民のみなさんに理解を求める取り組みが求められます。まさに本腰を入れて、これを打ち破るたたかいに立ち向かいたいと思います。
第三は、「党員拡大を重点とする党勢拡大の大運動」についてであります。
これも、きょうの討論、全国の同志の感想をみますと、圧倒的に歓迎の声が寄せられています。全国の同志の感想をみますと、たいへんうれしくなるのですが、「歓迎」の上に「大」がついて、「大歓迎」というものもたくさんあります。
つまり今度の「党員拡大を重点とした党勢拡大の大運動」という提起が、全党のみなさんの思い、願いとかみあっている。まさに強く大きな党をつくるというのが、党全体の願いになっているということを、痛感いたしました。
そしてこれは、日本社会の二十一世紀の進歩的未来を切り開くということを展望した場合、わが党が国民にたいして負っている重大な責任でもあります。
そして討論のなかで印象的だったのは、この問題でも足を踏みだせば条件は洋々と広がっているということが、選挙後の取り組みでも確認されていることです。
足を踏みだしてみたら、党員拡大でもたいへんあたたかい反応が返ってくる。京都や長野の同志からは、若い人々のなかでの党員拡大がどんどん進むという状況が報告されました。民間大経営のなかでの新たな党員拡大の取り組みの前進ということも報告されました。
私たちは後退したとはいえ、七百万人前後の有権者のみなさんの支持を確保することができました。これは報告でものべたように、つぎの前進の土台になりうる地歩であります。ですから、そういう方々すべてを視野に入れて、壮大な規模で、この取り組みを進めるならば、大きな条件がわれわれの目の前に広がっている。そこに大きく目を開いて、必ず党大会にむけて「党勢拡大大運動」を成功させるということをこの中央委員会の共通の決意として最後に確認して、討論の結語とします。(拍手)
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