1997年9月26日
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日本共産党第21回大会決議
第5章 あらゆる分野・地域で、多数派結集をめざす党活動
(15)情勢の認識と活動の構え、学習・教育について
日本の政治革新の事業の前進は、根本的にいえば、その主体的条件のかなめとなる大衆的前衛党の建設がどれだけの速度と規模で前進するかにかかっている。その躍進と飛躍に、前党大会いらいかちとられた豊かな教訓と到達点をふまえつつ、これまでの延長線上のものではない新しい意欲と創意をもって、全党が挑戦する。
(1)そのためにも、今日の情勢の特質を、全党の共通の政治認識にすることが大切である。いまわが党は、戦後の党の歴史のなかでも画期的な意味をもつ、党躍進の新しい激動的局面をひらきつつある。総選挙と都議選での躍進はその第一歩をしるすものであったが、その後の情勢の展開は、それが契機となって、わが党のいっそうの躍進をかちとりうる広大な条件をひろげつつある。
こうした歴史的激動のもとでは、客観的情勢が大きく発展し、前進しているのに、かんじんの党組織と党員の政治認識がそれにたちおくれることが、おこりうる。総選挙や都議選のたたかいをふりかえってみても、「そうはいっても自分の地域はちがう」「自分の職場は変わっていない」というような、一部にみられた情勢認識のたちおくれをくりかえし克服する努力のなかで、躍進への道はきりひらかれた。これは今後の党活動の発展をかちとるうえでも、重要な教訓である。
(2)いま一つは、今日の情勢にふさわしい党活動の発展を、活動の量――規模の面でも、活動の質――内容の面でもかちとり、そのなかで「党を語る」活動を、いっそう全面的、多面的に発展させることである。
活動の規模の面では、“あらゆる分野・地域で多数派に”ということを、大衆運動でも、党勢拡大でも、全党が自覚的に追求する。この間の活動のなかで、さまざまな演説会でも、シンポジウムなどでも、これまでにない新しい層との交流とむすびつきのひろがりがみられる。しかし、日本社会の全体からみれば、わが党が対話し交流しているのは、ごく一部分の人びとにとどまっているのも事実である。
たとえば、今日の日本で、国民は、じつにさまざまな組織・団体に所属して、その社会生活、社会活動をおこなっている。職場では労働組合をはじめさまざまな組織・サークルがあり、居住地には自治会や町内会やPTAなどの組織があり、業者は同業種組合や商店会・商工会にくわわり、農漁村では部落の組織があり農(漁)業協同組合がある。さまざまな青年会や婦人会、老人クラブなども組織されている。経営者の団体や医師会などは、社会的に大きな影響力をもっている。これらの諸団体のなかには、これまで保守政党の「地盤」とされてきた団体も少なくないが、自民党政治が国民生活のあらゆる分野で矛盾をひろげているもとで、大きな地殻変動がおこりつつある。国民が生活し活動している、あらゆる組織・団体に視野をひろげ、対話と交流をはかり、可能な一致点での共同をすすめ、党への理解と支持をひろげるために力をつくす。
活動の内容の面では、進路を模索している広範な人びと――とりわけ無党派の人びととの対話と交流を前進させるために、働きかけの姿勢と内容を改善していく新しい努力がはかられてきた。“対話型”の交流ということが重視され、また“紋切り型”を排し、自分の言葉で党を語り、政治を語るということも努力されてきた。そうした新たな創意あるとりくみは、シンポジウムなどのとりくみでも、日常の対話運動でも多彩な発展をみせているが、さらに知恵と努力の発揮がもとめられる。
(3)学習・教育活動は、党組織と党員が、今日の情勢の激動的特徴を正しくつかんで生きいきと活動するうえでの知的土台となるものであり、党の路線や歴史をふくめて党の全体像を語り、政治を語る力量を身につけるうえでも最良の保障となるものである。不断の学習によって、知的輝きによって国民を結集する党への成長をめざす。
第二十回党大会決議は、「中央委員会の諸決定や選挙闘争の基本文献の読了で、五、六割というのは、安住の許されない不十分な到達点であり、党の決定を文字どおり百パーセント読了できる党に前進しなければならない」とのべた。この方針にもとづいて、努力がはかられてきたが、なお前党大会決定の読了が四五%にとどまり、党大会後の中央委員会の決定の徹底で三割台から五割程度にとどまっていることは、わが党の活動の重大な弱点といわなければならない。
ときどきの党の決定は、党綱領路線と科学的社会主義にもとづいて内外情勢を分析し、全党の多面的な経験から教訓をくみあげてねりあげた、集団的英知の結晶である。党支部や党員の活動も、我流でなく、集団的英知を基盤にしてこそ、個性豊かに発展させることができる。この間、党の決定を徹底することの重要性を深くとらえ、生きた情勢の進展をたえず決定にたちかえりながらつかんで、読了運動を前進させている党組織が生まれているが、その教訓を全党のものにすることがもとめられている。
学習の内容としては、(1)党の路線、歴史をしっかりと身につけること、(2)党の当面の政策、方針の学習、(3)科学的社会主義の学説そのものの学習――の三つの分野が重要である。この間、「独習指定文献」の改定がおこなわれ、三つの分野の学習を独習を基礎に推進する文献上の指針も明確にされてきた。日々の「しんぶん赤旗」をよく読み、活動に生かすことを、学習・教育のうえでも重視して位置づけることが大切である。
学習・教育活動の強化を、あらゆる活動を前進させるうえでの第一義的課題として位置づけ、党活動の思いきった時間をこれにあて、“学ぶ気風”を全党にみなぎらせるために、力をつくす。この第二十一回党大会の決定から、こんどこそ文字どおりの「一〇〇%読了の党」をめざす。
(16)「支部が主役」──個性が輝く人間集団めざして
(1)前党大会は、党活動のあらゆる問題で、支部がその自発性と創意性を生きいきと発揮して活動する「支部が主役」の活動をつらぬくこと、支部が「政策と計画」をもって大衆運動と党建設を総合的にすすめることをよびかけた。
党大会後の全党の努力によって、八九・四%の支部が「政策と計画」をもって活動し、総選挙でも五割の支部が支部主催の演説会やシンポジウムをひらくなど、「支部が主役」の活動が軌道にのってきたことは、この間の党建設のうえでの最大の成果であり、わが党の党建設の歴史でも新しい局面をひらくものである。
支部は日本共産党の基礎的な政治単位であり、わが党が、日本全国の津々浦々に、二万数千の支部をもち、草の根で国民とむすびついて活動していることは、他党にないわが党のかけがえのない財産である。「支部が主役」の活動を、全党に定着させ、うまずたゆまず発展させることこそが、「国民こそ主人公」の日本への道をひらく大道であることに確信をもって、このとりくみのいっそうの前進をかちとる。
(2)この間、党中央は、参院選後と総選挙後の二回にわたって、「すすんだ党支部の経験を聞く会」をもち、全国のすぐれた実践から教訓をくみとってきた。そこからは、共通してつぎのような発展方向が生まれている。
――今日の情勢の発展にふさわしく、その地域・職場・学園のすべての有権者を視野に入れて、文字どおりの多数者を結集する意気ごみで、大衆要求にもとづく活動と、党勢拡大をすすめている。すすんだ支部では、住民要求にもとづくシンポジウム、町内会や自治会など幅広い諸団体での活動、ハンドマイク宣伝や掲示板などによる宣伝、後援会の確立と楽しい年間行事などによる活動の活性化など、じつに多彩で豊かな活動にとりくんでいる。
――全党員が参加する支部活動のかなめとして、週一回の支部会議を大切にし、「みんなが発言する会議」「元気のでる会議」にするためのさまざまな努力と工夫をはかっている。そこでは、学習を重視し、活動の喜びとともに困難も率直にだしあい、一人ひとりの入党の初心を生かし、それぞれの同志の条件、能力、趣味を尊重し、ヒューマニズムと個性の輝く人間集団として成長している。この点で、第二十回党大会の規約一部改定で、「支部会議を原則として週一回定期的に開催する」ことを規約の基本問題として明記したことを、支部活動の発展に生かすことが大切である。
――党機関からの指導まちにならず、党の全国的な方針がだされたら、それをただちに討議・具体化し、実行にうつす積極性が発揮されている。中央委員会の決定や、日々の「しんぶん赤旗」に発表される諸方針は、中間機関の具体化をへて、はじめて支部の方針になるというものではなく、その多くが直接党支部によびかけられたものである。支部がただちにそれを具体化し実践していく自発的な気風を、全党のものにしていくことが、もとめられている。
これらの支部活動の法則的な発展方向に確信をもって、すべての支部が第二十一回党大会決定にもとづいて、地域、職場、学園で力関係を変え、多数者を獲得する展望を明確にした「政策と計画」を充実させ、新たな実践にふみだす。
党支部の六割をしめる経営支部の活動を、今日の情勢にふさわしく発展させることは、その経営内にとどまらない全社会的意義をもつ。総選挙後の情勢の変化を反映して、職場情勢にも大きな変化がおこり、「連合」の政治路線と特定政党支持体制が破たんをきたしているもとで、日本共産党の職場での政治的比重が大きくなっているという状況がある。いま経営に強大な党組織を建設する大きなチャンスが目の前にひろがっている。経営支部が職場の全体に責任をもち、職場で多数者になることを本格的に追求し、「連合」の組合員、未組織労働者、管理職をふくめ、すべての労働者の全生活を視野に入れた支部活動の前進をはかる。職場革新懇の運動を、広範な職場で発展させる運動の先頭にたつ。全国でひらかれてきた経営支部交流会議の系統化と、内容の充実をはかる。
(3)「支部が主役」の党活動を定着、発展させるうえで、中間機関(都道府県・地区委員会)の指導と活動のありかたを、つぎの二つの角度で、思いきって改善していく。
一つは、支部の自主性、創意性をはげます指導である。そのためには、政治指導ぬきの実務指導でなく、支部と一人ひとりの同志に勇気と確信をわきたたせる政治指導を重視することがなによりも大切である。党中央はこの間、「地区機関の指導経験を聞く会」をもったが、そこでは「問題の指摘型から激励型の指導へ」「上からのおしつけでなく自主性、自発性を尊重する指導へ」という党機関の指導改善の自己脱皮の努力がこもごも報告された。支部長会議のもちかたでも、「元気の出る」政治指導をつねに重視するとともに、党機関の側からの一方通行の報告で終わるというやり方をあらため、支部長の悩みをだしあってそれにこたえた会議に改善したことで、会議の参加率もよくなり、支部に歓迎されているという報告もあった。支部指導部の確立とその政治的理論的水準の向上をはかる努力も共通している。これらの教訓を、全党が生かす必要がある。
「支部が主役」ということを、支部まかせにすることと“誤解”して、支部活動を「主役」にふさわしい軌道にのせるための積極的な指導と援助をためらう傾向が一部にあるが、これは正しくない。一般指導を政治指導にもっと重心をおいたものに改善するとともに、支部に積極的にでかけ、とくに困難をかかえている支部にたいして、いっしょになってそれを打開するための個別指導をおこなうことは、党機関の力量と真価が試される問題である。
いま一つは、中間機関が、党の内部指導にとどまらず、「その地方で日本共産党を代表する機関」として、地方政治の問題に責任をおうとともに、直接国民に働きかけるさまざまな政治活動を、抜本的に強化していくことである。この点では、この間、大きな積極的変化がつくられつつある。全国各地で、地域住民の切実な要求をとりあげたシンポジウム、住民要求を解決するさまざまな政策や提言の発表、党機関として自治体などに直接働きかけて要求実現にとりくむなどの活動が、これまでになくひろがった。
各級党機関は、第二十一回党大会の決定にもとづいて「総合計画」を具体化するさいに、こうしたこの間の教訓を、おおいに生かすようにする。
党費納入の向上、機関財政を確立・強化するための努力をはかることも大切である。財政活動を全党の意識的な努力の集中によって維持・発展させるために力をつくす。
(17)大衆運動新たな変化を視野に入れ大胆な運動のひろがりを
(1)情勢の大きな変動のなかで、大衆運動の各分野でも、多数派結集への新しい展望がひろがっている。広い視野と大きな構えにたって、新たな条件をくみつくす運動の発展がつよくもとめられている。
全労連、農民連、全商連、新婦人、民青同盟、全学連など、革新的立場にたつ全国的大衆組織が、それぞれの主体的力量をつよめながら、一致する要求であらゆる組織との大規模な対話と共同をひろげ、それぞれの分野で多数派を結集するイニシアチブを発揮し、広大な民主的改革の統一戦線をつくりあげていくことが、期待されている。
全生連、民医連、新日本スポーツ連盟などの分野別組織や障害者運動などの発展もひきつづき重要である。
(2)日本の労働運動は、新たな発展の歴史的転機をむかえている。総選挙における日本共産党の躍進と社民党の没落、民社党の新進党への解消などにしめされる政治戦線の力関係の変化は、労働運動に大きな影響をあたえた。「連合」は、総選挙、都議選の結果をつうじて、その政治路線だけでなく、経済問題でも統一的機能をたもてなくなり、その路線的破たんが鮮明になっている。職場での思想差別については、それを違法とする関西電力訴訟での最高裁判決、東京電力や中部電力訴訟の一連の地方裁判所での勝利判決などのもとで、反共思想差別をてことした労働者支配がくずれつつある。こうした労働戦線と職場の新たな変化は、日本の労働運動の前進と発展にとって、はかりしれない重要な意義をもつものである。
これまで日本の労働運動は、「連合」などの反動的潮流が労働組合の多くをその傘下においているために、政府の反動政策にたいして民主的な大衆運動の側からの反撃はあっても、労働組合運動の側からの全国的な反撃が弱いという、諸外国の運動と比較してもいちじるしい弱点をかかえていた。いまおこっている新しい条件を生かして、労働組合運動が、労働者の利益をまもるというほんらいの初心にもどり、(1)要求での団結、(2)資本からの独立、(3)政党からの独立という民主的原則をふまえて発展するということを、大きな流れにしていく必要がある。
全労連が、「連合」系や中立系をふくむ労働組合とのあいだで、一致する要求での共同をひろげ、労働者と国民の要求実現をめざす大運動をすすめ、未組織労働者の組織化にとりくんでいることは、未来ある発展方向である。
労働組合の民主的な発展の問題では、全労連とともに、職場のなかでの党と民主的な人びとの努力が決定的に重要である。経営での多数者の獲得をめざした党活動、職場革新懇の結成と発展、大きな破たんのもとにある「連合」路線を職場で包囲し、労働組合の階級的民主的強化をめざす活動などを、これまでにましてつよめる。日本の社会と運動のもっとも重要なこの分野に、強固な陣地をひろげ、圧倒的な影響力をうちたてることをめざす。
(3)農業・農民分野では、農民連の強化とともに、農協の民主的発展の努力が大切である。農協中央は、農産物輸入自由化反対では、わが党とも一致点にもとづく共同をすすめたが、その後、新食糧法の施行のもとでの強制減反の推進などで、行政の補完組織としての役割がおしつけられ、農民との矛盾をつよめている。しかし、農協が「農民の協同」のための組織の旗をかかげているかぎり、そうした道をすすむことは、みずからの組織の存立基盤を否定することになる。多くの農協組合長などが、日本共産党主催のコメ問題のシンポジウムに参加するなどの前むきの変化もひろがっている。コメの完全自由化阻止、WTO協定の改正、食糧自給率向上などで、農協との一致する要求での共同を追求するとともに、減反問題でも対話と可能な共同を探求する。
(4)中小業者の分野でも、全商連の発展とともに、さまざまな業者団体でおこっている大きな変化を視野に入れた活動が大切である。商工組合、商工会議所、商店会などは、もともとは自民党の都市における厚い支持基盤を形成してきた。そのよりどころは、中小企業経営を一定の範囲で保護する各種の「規制」と補助金だった。ところが、不況にくわえて、大手資本を野放しにする「規制緩和」によって、中小業者が壊滅的打撃をうけるなかで、自民党支持のしめつけの崩壊がはじまっている。そして、大型店舗の進出に反対するたたかいやシンポジウムなど、日本共産党との対話と共同がさまざまな形でひろがっている。この分野でも、そうした多数派結集の新たな条件を生かしたとりくみがもとめられる。
生協運動が、その基本的性格にそくして、民主的に発展するように力をつくすことも、ひきつづき重要である。
(5)女性分野での新しい前進は、注目すべきものがある。女性の権利と暮らしが圧迫されるなかで、これまでの枠をこえた広範な共同がつくられつつある。切実な要求にもとづいて、地域婦人会との対話や共同もすすめられている。男女平等、子育て、教育、環境、食、介護、従軍慰安婦問題など、身近な要求から国政の課題まで、さまざまなグループとネットワークが生まれ、女性のエネルギーがおおいに発揮され、多様な運動が発展している。
党創立いらい、男女平等と女性の地位向上のためにたたかいつづけてきた党として、いまひろがりつつある新しい変化の全体を視野に入れ、多くの女性、女性団体との対話と共同を発展させることがもとめられている。
(6)わが国の高齢者人口は急速に増加し、国民のなかの比重がたかまっている。
政府、財界が、医療・年金制度の抜本改悪をはじめ、社会保障制度を全面的に縮小する攻撃をつよめているもとで、医療・年金・福祉などの拡充をもとめる高齢者のたたかいは、いよいよ重要である。
党は、民主的な高齢者運動はもちろん、さまざまな高齢者組織とのあいだに対話をひろげ、高齢者の切実な要求を実現するたたかいにとりくむ。
(7)日本における社会進歩の事業の前進をはかるうえで、文化人・知識人の役割は、今日ますます重要になっている。世界的な激動のもとで、一部にあらわれた「方向喪失の状況」は、克服されつつあり、党と広範な文化団体、学術団体、個人との交流と共同がひろがっている。科学的社会主義の学問的価値は、イデオロギー的立場をことにする文化人・知識人からも、さまざまな形で注目されている。エンゲルス没後百年を記念しておこなわれた理論活動は、科学的社会主義を擁護・発展させるうえで、重要な意義をもつものであった。一方、日本の歴史の反動的ぬりかえなど、右派ジャーナリズムをはじめ、文化・学問分野での反動的攻撃もつよまっている。今日の情勢の進展にふさわしく、科学的社会主義の真価をいっそう発揮する創造活動、理論・イデオロギー活動の強化をはかり、広範な文化人・知識人、宗教者との対話と共同の発展をはかる。また、研究・文化活動の自由を圧迫し、制限する現状を打開する活動を重視する。NPO(非営利法人)法制定のとりくみや大学教員任期制導入反対のたたかいなどでひろがった共同の輪を、さらに発展させる。
(18)機関紙拡大と党員拡大とくに若い世代の革新的結集
(1)総選挙での躍進は、党勢拡大の分野でも新たな可能性と展望をひらくものとなった。いまのわが党の発展の特徴は、日本共産党の政治的影響力の大きなひろがりにくらべて、党勢拡大が、たちおくれていることである。逆にいえば、こんなに拡大の条件が広大にひろがっているときはない。
東京都での総選挙と都議選でのわが党にたいする有権者の投票行動がどう推移したかの分析をみると、かなりの支持層が流動的であることがわかる。そういうなかで、つぎの躍進を確実なものにするためには、思いきって広い層の支持を獲得する努力とともに、党の強固な支持層をいかにひろげるかに、大きなかぎの一つがある。党員と読者の拡大こそがその保障となる。
昨年十二月の第六回中央委員会総会では、「少なくとも総選挙の得票の一割の党員を、得票の半数の読者を」という目標をもって、全党的な運動にとりくむこと、党機関の「総合計画」や支部の「政策と計画」のなかにも、この大きな展望にたって党勢拡大を位置づけることを決定した。
第二十一回党大会からおそくとも三年以内につぎの総選挙がおこなわれる。また二年から三年以内に第二十二回党大会を開催することになる。三年以内というのは、今世紀中ということでもある。「得票の一割の党員、半数の読者」という目標を、おそくとも今世紀中には達成し、二倍の党員、一・五倍の読者をもって来世紀をむかえることを全党によびかける。
(2)党勢拡大の方針については、前党大会いらいとってきた法則的な発展方向を、今後も堅持してすすむことが大切である。
こうした法則的な発展方向をしっかりにぎって、党勢拡大の持続的前進をかちとっている党組織が、全国各地に、支部段階はもとより、地区、県段階でも生まれていることは、今後にむけた大きな展望をひらくものである。
党員拡大では、第二十回党大会以降の持続的な努力によって、後退傾向から脱却して前進がつくられ、第二十一回党大会を約三十七万人の党員でむかえることができた。総選挙のあとに、この運動の前進の速度が加速していることは重要である。第二十回党大会後に新しい党員をむかえた支部は四割をこえた。次期党大会にむけ、すべての支部で新しい党員をむかえ、空白の地域、経営、学園での支部の建設をはかり、党員倍加をめざして奮闘しよう。
機関紙拡大では、この約半年間、毎月増勢をつづけてきたことは重要だが、前大会時の現勢を回復するには至らず、激動的な情勢のもとで急速にふえている新しい党支持層に、まだ党の活動がおよんでいないことを重視しなければならない。革新・民主の世論と運動をひろげ、発展させるうえで「しんぶん赤旗」の役割がいっそう重要になっているいま、広い層、新しい層のあいだに購読を訴える活動をおう盛に展開し、すべての支部と県・地区が、今世紀中に現勢の一・五倍化の展望にたって、それを達成するために、毎月、真剣に努力する。毎月数万にのぼる読者の購読中止をなくし持続的前進をかちとるために、これまでの惰性をただして、配達・集金体制や読者との日常的な結びつきを支部を基礎に確立・強化し、地方議員と機関幹部などの配達・集金の過重負担を解消するために力をつくす。
(3)青年・学生分野は、総選挙や都議選での党躍進がつくりだした新しい情勢の特徴を、もっとも敏感に反映した分野であり、日本共産党にたいする若い世代の新しい関心と期待のたかまりが、職場、地域、学園を問わず、またこれまで民主的青年運動の影響力の弱かったところをふくめ、全国的に顕著になっている。ことしの新入生を対象にしたアンケートでも、党支持率の上昇とともに、拒否率が数年前の三分の一にまで減るという特徴がみられる。こうした新しい条件を生かして、若い世代のなかでの活動を思いきって強化し、党勢拡大と民青同盟の拡大での躍進をめざす。
いま青年は、日本の政治や社会のゆきづまりが深刻になるもとで、曇りのない目で前途を模索し、情熱をかたむけてやれることをもとめている。震災問題、薬害エイズ問題、環境問題、沖縄問題などでの若い世代のボランティア的運動のひろがりは、青年層の積極的なエネルギーのたかまりのあらわれである。若い世代との自然な形での交流と対話の機会を多面的につくり、ともに社会進歩の道を探求していくとりくみが大切である。
この課題は、革新運動の後継者をつくるという点からも、党自身にとっても切実な課題である。全党が総力をあげて、若い世代の革新的結集で、大きな前進をかちとることがもとめられている。
(19)社会進歩と国民への重大な責任を自覚して
総選挙と都議選での躍進は、二十一世紀にむけて希望ある政治の新たな局面をきりひらいた。しかし、つぎの躍進の大波をつくれるかどうか――いま党は新たな正念場にたっている。党の躍進によって、相手側もまた新たな逆風をおこしてくるだろう。前途はたんたんとしたものではない。つぎの躍進の大波をつくるためには、これまでの延長線上に甘んじないで、わが党の活動を、あらゆる分野で新たな質、新たな規模の活動にたかめることがもとめられている。社会進歩と国民への重大な責任を自覚し、日本共産党の新たな上げ潮をつくりあげるために、力をあわせて奮闘しよう。
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