不破さん「科学の目」で日本の政治史を読む 政治史をつらぬく共産党と支配勢力の対決

講演する不破哲三社会科学研究所長.jpg 赤旗まつり定番の呼び物、日本共産党の不破哲三社会科学研究所所長の「科学の目」講座が7日に開かれました。4回目の今回、テーマは「『科学の目』で日本の政治史を読む」。開会の2時間半前から「困難な中、政治情勢の大局的な話を聞きたい」(新潟県上越市の田中徳光さん=65歳)と並ぶ人の列ができ、会場は20分前には満席に。3500部用意した資料が足りずに700部追加するほどの盛況ぶりでした。

 

(写真)講演する不破哲三社会科学研究所長

 

 舞台には大きなグラフが張られています。1946年以後の国政選挙での日本共産党の得票率を追ったもの。そこに表れた「大きな波の歴史」を読み解くよう促した不破さん。政治史を「科学の目」で読むうえで、(1)社会発展と国民生活をおさえこむ害悪の根源をつかむ(2)害悪を取り除こうとする勢力と、害悪に固執する支配勢力との闘争、とくに彼らの反攻との闘争で変革の勢力がきたえられ成長する過程(階級闘争の弁証法)をつかむ―という二つの視点を強調しました。

 

支配勢力の3回の総反攻

 グラフから浮かぶ「大きな波」は3回。不破さんは各時代の様相を生々しく語りました。

 (1)40年代後半~。戦後、米国の占領体制のもと、49年に共産党が躍進すると、米国と日本の支配勢力は基地体制維持の障害とみて総反攻に出ました。列車転覆などの謀略事件を仕掛けて"共産党のしわざ"説を振りまいた上で、共産党を弾圧し事実上非合法化しました。

 (2)70年代~。日本社会の「二つの害悪」―米国いいなりと大企業応援優先―を綱領で明らかにした共産党が69・72年の選挙で躍進。革新自治体が広がり、国政でも共産・社会両党が政策協定を結びました。

 支配勢力は戦後2度目の総反攻に出ます。戦前の特高警察のでっちあげ事件を蒸し返して共産党を攻撃。80年に社会・公明両党が共産党排除の合意(「社公合意」)をし、共産党以外の全与野党が自民党政治の土俵に乗りました。

 (3)90年代~。自民党の腐敗したゼネコン政治に国民の批判が高まり、細川「非自民」政権が小選挙区制を導入して「二大政党」体制づくりをもくろむものの、寄り合い所帯が瓦解。「非自民」野党が多党化する中、96・98年の選挙で共産党が大躍進しました。

 支配勢力は3度目の総反攻に出ます。2000年の選挙で謀略反共リーフの洪水。その上で03年、財界が直接乗り出し、民主・自由党合併で「二大政党」をつくって、今すぐ首相を出す段階にない政党を締めだす「マニフェスト選挙」の仕掛けを総がかりで持ち込みました。

 これら3回の支配勢力の反攻に共通の特徴として不破さんは「まず扇動的な反共宣伝で国民と共産党の間にくさびを打ち込み、つぎに共産党排除の政治体制づくりで仕上げる」やり方を指摘しました。

 

国民の探求は必ず発展する

 しかし、それによって政治の危機は取り除かれるどころか、深化しています。不破さんはその象徴として、共産党を除く全政党が同じ自民党政治の土俵に乗った1980年以降、太平洋戦争末期と似た状況にまで悪化した財政危機をあげました。

 また、平和をめざす外交力がものをいう世界への変化や欧州の「ルールある資本主義」と対比し、日本の外交・内政の逆行を告発。閉塞(へいそく)状況を生む「二つの害悪」を打破する取り組みは避けられないと力を込めました。

 「歴史を開くのは主権者国民の自覚と運動です。時間はかかっても、未来に向かう国民の探求は必ず社会をゆがめ生活をおさえつける害悪に立ち向かう方向に発展します。新しい政治を開く先頭に立っているという確信、日本の政治史に深く裏付けられたこの確信を胸に、広い視野と展望を持って力を尽くそうではありませんか」

 不破さんがこう呼びかけると、会場は大きな拍手で応えました。

 

 

グラフ.jpg

 

2010118()「しんぶん赤旗」)

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