初日のトリを務める三遊亭円丈さん。新作落語の旗手として知られています。二つ目のころには、青空寄席によく出演していました。今回は1988年以来22年ぶりの登場です。
当時の青空寄席の印象として「赤旗まつりに来ること自体を楽しんでいて、みなさん、顔が晴れやかでした」と振り返ります。屋外での寄席のため、突然の雷雨に襲われ、楽屋のすのこが浮き上がりそうになったこともありました。
高座だけでなく、紙芝居を自転車に積んでまつり会場をまわったことも。明治時代に滅亡した化けタヌキが、実は別の形で生き残っていた「地球最後のタヌキ」というお話。始める前の簡単なクイズで当たった子どもにお菓子をあげたり、あめを売ったりしながら紙芝居をし、子どもからおとなまで世代を超えて楽しんでもらいました。
先日、この紙芝居が復活。木枠や絵を「民族芸能を守る会」の協力などで作製して、旧作をさらにパワーアップさせました。
狛犬(こまいぬ)の研究でも有名な円丈さん。20年ほど前のこと。公園の隅に置かれていた狛犬を見ておどろきました。「顔が削られ、捨てられているんですよ。なにか訴えかけているような気がしましてね」。以来全国を巡って狛犬を見てまわっています。
2000年には落語界の繁栄を願って、東京都足立区の綾瀬稲荷に「落語狛犬」を建立しました。
落語家を目指したのは、高校2年の時。親の反対に遭い、まずは大学に進学しますが、2年で中退、「自分の存在証明として落語をやりたい」と19歳で三遊亭圓生(故人、6代目)に入門しました。
「古典落語は基本であって、新作でこそ自己表現ができる」と話す円丈さんは、落語以外にもゲームの作製に携わるなど表現の幅を広げていきました。最近では映画「ランボー怒りの脱出」や「タイタニック」をムービー落語にして演じる新たな挑戦も。今後は宇宙物として「スターウォーズ」などもやってみたいと意欲的です。
「(今回の赤旗まつり出演は)久しぶりなので、お客さんに楽しんでもらえるようがんばります」
文 釘丸 晶 写真 橋爪拓治
(2010年10月8日(金)「しんぶん赤旗」)