日本共産党

2002年2月23日(土)「しんぶん赤旗」

企業の社会的責任を強調したEU提言とは?


 〈問い〉 EUで昨年七月、企業の社会的責任を強調した提言が発表されたそうですが、どういうものですか。(大阪・一読者)

 〈答え〉 EU(欧州連合)の内閣にあたる欧州委員会は二〇〇一年七月、「企業の社会的責任についての欧州の枠組みを促進する」と題する政策提案文書(グリーンペーパー=緑書)を発表しました。EUではこれまでも、法律にあたる指令などの重要決定に先立ってこのような緑書を発表し、論議を重ねています。今回も国際機関や企業、労組、NGO(非政府組織)、個人など、EUのあらゆる層に広く討議が呼びかけられ意見を集約する作業が進められています。

 この「緑書」では、企業が社会的に責任を負うことは、法を守るにとどまらず、人や環境、利害関係者により多く投資することを意味し、このような投資は企業の競争力を高め生産性を向上させることが経験でも確かめられている、と述べています。

 「緑書」では企業の社会的責任が適用されるさまざまな領域について論じています。その領域は、▽生涯学習や労働者の能力向上、家庭と仕事の両立支援など人材管理▽職場の安全や衛生▽「変化への適応」(リストラでの企業の社会的責任について論じたもの)▽地域環境への影響と天然資源の管理▽地域のコミュニティー▽事業のパートナー、供給者、消費者▽人権▽地球環境問題―と多方面にわたります。

 例えばリストラとの関連では▽従業員の解雇を縮小するためあらゆる代案の評価・検討をすること▽職業訓練など、従業員が雇用条件にかなう能力を確保するため、責任を分担すること▽地域的雇用などに関与することで、社会的・地域的影響を軽減すること―などを企業に求めています。

 EUでの企業の社会的責任をめぐる政策論議は、一九九三年に着手されたとされ、「緑書」にはその長い蓄積が反映されています。

〔2002・2・23(土)〕

 


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