2000年10月16日「しんぶん赤旗」 |
〈問い〉 従軍慰安婦への賠償責任の問題で、国連のマクドゥーガル報告という重要な報告があるそうですが、どのような報告なのですか。(福岡・一読者)
〈答え〉 国連は、一九九三年、「女性にたいする暴力撤廃宣言」を採択。九六年、従軍慰安婦問題で日本政府に国家賠償等を求める国連人権委員会の報告書(クマラスワミ報告)が出されました。マクドゥーガル報告は、これらを背景に、九八年八月、国連人権小委員会(差別防止少数者保護小委員会)が採択した報告「武力紛争時における組織的強姦(ごうかん)、性奴隷及び奴隷類似慣行」のことをいいます(報告者は、米国のゲイ・J・マクドゥーガルさん=女性)。
報告書は、いま世界各地で起きている女性への暴力についての本文と付属文書からなり、付属文書は従軍慰安婦問題について記述しています。従軍慰安婦問題では、軍の関与を認めながら法的責任を否定する日本政府の論拠に反論し、日本政府に国家賠償と犯罪者訴追を求める勧告をしています。
〇第二次世界大戦中、日本政府・軍隊は、二十万人を超える女性を「慰安所」で強制的に性的奴隷とした。この犯罪は、人道にたいする罪としてのみ適切に表現できる。
〇「慰安所」の責任者の訴追や慰安婦への法的賠償のメカニズムをつくる必要がある。
〇日本政府は、人道にたいする罪となるものにたいし、責任がある。
〇日本政府は、賠償問題は平和条約や賠償協定で解決ずみとの議論をしているが、日本政府は、軍の関与を認めることを最近まで怠り、アジア各国と平和、賠償の交渉時、この点で沈黙していた。日本が責任消滅のため、平和条約に依拠することは許されない。
〇十分な救済を提供するために必要な最終措置をとることは、日本政府にかかっている。
日本政府は、このような国際的勧告が出されても、“おわびはするが法的責任はとらない”という態度をとっています。日本共産党は、「二十世紀の問題は二十世紀中に解決を」という内外の声にこたえ、七月の国会に、国の責任を明確にした従軍慰安婦問題の解決促進法案を提出するなど、問題解決に力をつくしています。(龍)
〔2000・10・16〕
機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。
著作権:日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp