「天皇主義的・軍国主義的思想を克服」とは?


 〈問い〉 日本共産党の綱領に、「天皇主義的・軍国主義的思想を克服し、その復活とたたかう」とありますが、「天皇制廃止」とは意味がちがうのでしょうか。(大阪・一読者)

 〈答え〉 日本共産党綱領は、当面の要求課題をまとめた「行動綱領」の部分で、「天皇主義的・軍国主義的思想の克服」をかかげていますが、これは「天皇制廃止」のことではありません。

 「天皇主義的思想」とは、主権者である国民の上に天皇をおき、天皇制を美化する考え方のことです。戦前なみに天皇が「お言葉」をのべる「国会開会式」のあり方、天皇を国の元首のようにあつかって「皇室外交」など国政に積極的に関与する役割を推進したり、神話にもとづく天皇中心の歴史の見方をひろげる、あるいは、戦前の侵略戦争と暗黒政治の最大の責任者だった天皇を美化する、マスコミまで動員して国民にたいして天皇礼賛を押しつける、などの思想をさしています。

 「軍国主義的思想」とは、天皇制政府がかつておこなった侵略戦争を美化、合理化したり、国民を侵略戦争に動員することをねらう思想のことです。

 こうした思想は、日本国憲法が定めた国民主権の原則、恒久平和主義の原則に反し、これらの原則をおびやかすものです。だからこそ日本共産党は、憲法の平和的民主的条項を厳格に守る立場から、これらの思想の克服を当面の課題としています。天皇の役割については、国政関与を禁止し「国事行為」を規定した憲法の条項を厳格に守ることを求めているのです。

 天皇制そのものについていえば、国民主権の立場と矛盾していると日本共産党は考えています。しかしそれは、憲法にかかわることですから、将来、国民の意思と世論が成熟し、国民的な論議ができる段階で解決をはかる問題です。だから天皇制廃止を当面の課題としていないのです。

(樋)

〔1999・2・6(土)〕


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