日本共産党

2004年5月28日 衆議院 経済産業委員会 日本共産党 塩川鉄也議員

産業技術総合研究所法「改正」案 鉱山保安法改悪案 反対討論 大要

 私は日本共産党を代表して、「産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案」及び「鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案」に対し、反対の討論を行います。

 「産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案」に反対する理由は、研究所職員の公務員としての身分保障が、その研究・業務の遂行と一体の関係にあるにもかかわらず、非公務員型の独立行政法人に移行させることにより、「わが国産業技術の向上をはかる」という公的研究機関の目的・役割を果たすことがますます困難になるからです。
同研究所の公務員身分保障は、「全体の奉仕者」として職務に専念し、利潤追求を優先する民間企業では担えないような基礎的・基盤的研究をはじめ、中長期的研究の促進、公害・環境研究や採算がとれない地質調査など、公的研究を行う上で必要不可欠のものであります。

 同研究所の非公務員化は、任期付雇用などによる雇用の不安定化を招き、産業化に向けたプロジェクトなど短期的研究を優先する傾向を強めるものであります。また採用や兼業、共同研究に関して経営者や民間企業との癒着が生まれかねないなど、公的機関としての中立性や公平性が担保されないようになることが懸念されます。

 次に、「鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案」に反対する理由は、本改正案が規制緩和のもと、安全対策における企業の責任と負担の軽減をはかり、公的監視を弱めるなど「国民の生命と安全を守る」という国の責任をも放棄するものだからです。

 本改正による国の公的検査から事業者の自主検査への移行、事前規制型行政から事後チェック型行政への転換、保安管理機構の簡素化、国家資格制度の廃止などは、大企業のリストラ・合理化とも相まって、鉱山保安体制がいっそう弱まることは明らかです。同時に、検査機器など自前の検査体制がもてない中小鉱山では、経済的負担が生ずることからも容認できません。

 国の鉱山への立入検査についても、条件緩和やインセンティブ制度の導入で従来の保安管理体制から大きく後退する恐れがあります。

 最後に、利潤優先、人命・安全軽視の企業責任と国の加害責任を厳しく断罪した「筑豊じん肺訴訟」最高裁判決から真に教訓を学ぶべきであります。昨今多発している産業事故に鑑み、産業保安における国の責任と保安・監督体制の充実こそが求められていることを強調して討論を終わります。


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