2004年5月20日 衆議院 農林水産委員会 日本共産党 高橋千鶴子議員
私は、日本共産党を代表して、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部改正案に反対の討論を行います。
反対の第1の理由は、保険業法と同様に、組合・共済契約者間の自治的な手続きにより契約条件の変更を可能とする制度を導入することについてです。昨年、金融庁は、生保の予定利率の引き下げのために、契約条件の変更を可能にする保険業法の一部改正案を国会に提出し、多くの国民の反対の声を押し切って、成立させました。今回の法改正は、この保険業法の改正に横並びで契約条件の変更を可能にするものであり、認めることはできません。農協共済は、逆ざや額は、2002年度で5930億円としていますが、この逆ざや額を他の利益で穴埋めしてもなお約4640億円もの巨額な基礎利益を生み出しています。このような実態で、農協共済の契約不履行を担保し、個別契約者の保険金額を減額させる目的の本制度の導入は、とてもではないが契約者の納得を得られるものではありません。
反対の第2の理由は、全国中央会による基本方針の策定についてです。これは、これまで都道府県中央会がそれぞれ農協に対する指導事業を行ってきたものを、全国中央会が指導事業に関する共通の目標として基本方針を決定公表することによって、これまで以上に中央集権的に指導事業を組み立てようとするものであり、本来農業農協が地域に根ざした性格がある中で、都道府県中央会の指導事業にたいする自主性を損なうものであり、賛成することはできません。
反対の第3の理由は、合併・事業譲渡における総会手続きの省略についてです。大規模組合が大規模組合の組合員数・資産額が20分の1以下の小規模組合を吸収合併する場合、総会の議決を要しないとするものは、農協合併推進のために、民主的手続きさえないがしろにしようとするものであり、賛成できません。
なお、民主党修正案については、全国農業協同組合中央会と都道府県農業協同組合中央会との合併を可能とする規定を導入することになっていますが、それは各都道府県農業協同組合中央会を不要とすることに結びつかざるを得ません。このことは、これまでのそれぞれの地域農業の特色にあわせて地域農業発展のために取り組んできた都道府県農業協同組合中央会の役割を否定するものであり、賛成できるものではありません。