日本共産党

2004年4月27日 参議院 国土交通委員会 日本共産党 富樫練三勝議員

船員法「改正」案 反対討論

 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になっております海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。

 反対理由の第一は、荷主の優越的地位を濫用する規制、これを規制するのではなくて、事業実態に対応するという名目で荷主本位の内航海運事業を再編するものだからであります。

 今求められているのは、荷主による関係法規を無視した優越的地位の濫用の規制であります。後ればせながら今年の四月から、内航海運事業も、改正された下請二法及び独占禁止法にかかわる特殊指定の新たな対象になりました。しかし、本法案はこの方向とは反対に、事業参入を許可制から登録制に、基準運賃などの制度の廃止、事業区分の廃止、適正船腹調整量の制度の廃止など、一連の規制や制度を廃止するものであります。これは、中小内航海運事業者の経営を一層脅かし、内航海運の振興に逆行するものであります。

 反対の第二の理由は、違法な派遣事業にメスが入らないどころか、これを温存することになるからであります。

 現在、横行している違法な派遣事業であるマンニング業は、法で禁止されている二重搾取を行い、船員の労働条件等を脅かしています。現在、緊急に求められている課題は、違法なマンニング業にメスを入れて、このような違法行為をやめさせることであります。しかし、本法案では実効ある対策は取られておりません。

 反対する第三の理由は、労働力の流動化の名の下で、労働者派遣事業の対象を船員まで広げて、雇用不安を拡大し、労働条件を悪化させるからであります。

 しかも、ILO二十二号条約で、海員と雇入契約を結ぶことができる雇主は船舶所有者又はその代理人と限定されているにもかかわらず、本法案では、船を持っていないし、借りてもいない者まで広げています。これは国内法である船員法の強引な拡大解釈によるものですが、こんなことがまかり通るならルールも何もなくなってしまいます。さらに、雇入契約が事前チェック方式である公認から事後チェック方式である届出になることによって、船員法第三十八条に規定されている、国土交通大臣が公認の申請に対し、その雇用が航海の安全又は船員の労働条件に関する法令の規定に違反していないかどうか、又は当事者の合意が十分あったかどうかを審査するということが事前にできなくなってしまいます。これでは船員の権利と航海の安全を守ることはできません。

 以上、反対する理由を申し上げまして、討論を終わります。


日本共産党/国の政治へ

もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

著作権:日本共産党中央委員会 
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp