日本共産党

2004年4月27日 衆議院 農林水産委員会 日本共産党 高橋千鶴子議員

家畜伝染病予防法改正案に対する修正案の趣旨説明

 私は、日本共産党を代表して、政府提出の家畜伝染病予防法の一部改正案に対する修正案の趣旨説明を行います。

 修正の第1の点は、家畜の伝染性疾病に係る届け出義務の対象者の拡大と通報義務の新設です。家畜伝染病予防法は、「伝染性疾病についての届出義務(第4条)」「新疾病についての届出義務(第4条の2)」ともに、家畜所有者に届け出義務はなく、届け出義務は、獣医師のみに課せられている。また、法定伝染病についてのみ、「患畜等の届出義務(第13条)」として、届け出義務を獣医師に課すとともに、例外として、獣医師に診断または検索を受けなかった場合にのみ家畜所有者に届け出義務を課しているのである。今回、浅田農産が当初獣医師に見せたと嘘をついたのは、浅田農産がこの規定を十分知っていたからであると想定されます。このように家畜伝染病予防法は、通報義務の基本を獣医師に課し、家畜所有者は、法定伝染病で獣医師に見せなかった場合にのみ通報義務が課せられる仕組みとなっています。このような法的枠組みは、家畜飼養形態が、小規模で、家畜所有者が十分な家畜疾病の知識を有していなかった戦後直後の状況を反映していたと想定されます。しかし、養鶏業界についていえば、ブロイラーでは、一戸当たりの平均飼養規模は、4万羽に迫っており、10万羽以上の経営者は、1880戸で生産量の88%を占めています。採卵鶏養鶏では10万羽以上の経営者360戸で生産量の54%を占め、最大の経営規模は、400万羽にもなっています。ほとんどの大規模な経営体が企業経営となっているのです。このような大規模な経営体の家畜所有者に通報義務が課せられていないこと自身が、社会的な責任という点からも問題でした。また、獣医師には、立ち入り権限はなく、このような大規模な養鶏場で何が起こっているかは、経営者すなわち家畜所有者しか知り得ないのです。このような状況の中では、家畜所有者に基本的に通報義務をもたせることが必要なのです。そのため、患畜等の届け出義務については、家畜所有者は、家畜が患畜または擬似患畜となったことを発見した時は、獣医師による診断または検索を受けたか否かに係らず、都道府県知事に届けなければならないとするとともに、家畜が届け出伝染病または新疾病にかかりまたはかかった疑いがあることを発見した場合ついても家畜所有者は、獣医師に診断または検索を受けていない時は都道府県知事に届けなければならないものとします。さらに家畜所有者は、すでに知られている家畜の伝染性疾病にかかっている可能性を示す異変を発見した時は、都道府県知事にその旨を通報しなければならないものとします。

 修正の第2の点は、損失補償に伴う費用負担についてです。政府案は、移動制限命令に協力した畜産農家に対する助成の制度化や都道府県の防疫事務の費用に対する国の負担を盛り込みましたが、それは日本共産党がいち早く要求してきたものであり、前進面として評価できるものですが、国の負担率が、2分の1となっており、地方自治体関係者からも国の負担率の強化が求められておりました。これを受けて、国の負担率を3分の2とするものです。

 以上、修正案の趣旨を説明いたしました。なにとぞ、委員各位の賛同を得られますよう、よろしくお願いいたします。


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