2004年4月27日 衆議院 総務委員会 日本共産党 吉井英勝議員
私は、日本共産党を代表して、合併関連3法案に反対の討論を行います。
反対の第一は、国として1,000という数値目標を定め、都道府県を前面に立てて進めてきた押しつけ市町村合併を、集大成・法制化するものだからであります。
政府は、国のよる強制合併という批判を避けるために、都道府県を前面に立てて合併を進めてきましたが、「市町村の合併パターン」を含む「市町村の合併の推進についての要綱」の策定、知事を長とする全庁的支援体制の確立、合併重点支援地域の指定など、合併推進に必要なことを一つひとつ具体的に知事に要請するやり方を見れば、主体が国にあることは明らかであります。法案は、これまでの手法そのままに、総務大臣が基本指針を策定し、その基本指針に基づいて基本構想を都道府県知事が策定、知事はその具体化の為に合併協議会の設置を勧告し、協議がはかばかしくない場合は、必要な勧告ができ、その勧告に基づいてとられた措置まで報告を求めることができるとされています。まさに、合併推進のための制度設計といわなければなりません。
第二は、地方分権の事務配分の原則にも反するものだからであります。
現行地方自治法に規定する市町村の合併に係る都道府県知事の事務は、「国家の統治の基本に密接な関連を有する事務」として「法定受託事務」とされています。ところが政府は、「よるべき基準」などという「法定受託事務」の「処理基準」もどきの表現を使いながら、知事による基本構想の策定事務を「自治事務」と強弁するばかりか、「自治事務」の基準とされる総務大臣の基本指針に、「人口1万未満」という数値目標を盛り込む意向を表明しています。知事の構想策定を「自治事務」と言うなら、現行自治法の合併に係る事務の見直しを行うべきであります。また、総務大臣の基本指針も、「自治事務」の基準に相応しく、「人口1万未満」という全国一律の数値を盛り込むことはやめるべきであります。
第三は、意図的とも言うべき住民投票制度の活用です。
都道府県の合併は法律事項とされ、国会の議決を経た上で、憲法95条の住民投票が義務づけられています。それを都道府県議会の議決と国会の承認で行えるとしていますが、市町村合併が強要される中で、首長や議会の判断だけでなく地域住民の直接の声を聞いて欲しいと全国各地で住民投票がおこなわれています。そういう時に、なぜ住民投票をわざわざ省略するのか。将来の道州制の導入を見据えて、都道府県の合併を容易に行えるようにする意図からとはいえ、これだけ住民投票がおきている時に、それを回避する道をつくるのは、住民の意思を無視する姿勢と言わなければなりません。知事の合併協議会設置の勧告が否決された場合にのみ、住民投票制度を導入することとしていることと併せて、住民投票制度を意図的に導入しようとしていると言わざるをえません。
なお、修正案は、こうした上からの合併強要を応援する「アメ」の役割をはたすもので反対であることを表明して、討論を終わります。