2004年4月15日 参議院 厚生労働委員会 日本共産党 井上美代議員
日本共産党を代表して、独立行政法人医薬基盤研究所法案に対して反対の討論を行います。
本法案は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構が創設されたときに、副作用被害救済業務や審査承認業務と相反する医薬品、医療機器の研究開発振興業務が同一法人で行われることに世論が猛反発し、そして、参議院厚生労働委員会で研究開発振興業務を分離することを求める決議がされたことを受けたものであります。
しかし、分離された研究開発振興業務と国立医療品食品研究所大阪支所と研究所の業務の一部である薬用植物栽培試験場などや、国立感染症研究所の業務の一部である遺伝子バンク、実験動物開発、医学実験用霊長類センターを統合し、非公務員型の独立行政法人医薬基盤研究所を設置するための法案です。
国立の試験研究機関等を独立行政法人に移行させることは行政改革の名に値せず、これまで日本共産党、反対してまいりました。
非公務員型への移行も、雇用の不安定化、医薬品開発プロジェクトなど短期的研究優先の体制になり、採用、兼業、共同研究で製薬大企業との癒着が生まれる、公的な機関としての中立性、公平性が担保されません。基礎研究、特に長期的な基盤的研究がおろそかにされ、その衰退にもつながりかねません。
全体の奉仕者として職務に専念し、採算性が期待されない基盤的研究や生物資源管理など、利潤最優先の民間企業では担い得ない公的な研究を行い、公正中立な立場から産官学連携を進めるためにも、公務員身分の確保は不可欠であります。
本研究所は、製薬産業の国際競争力強化を目指す厚労省の医薬品産業ビジョンの中で、医薬品開発のための基盤技術研究や研究資源の供給を目的とし、研究成果を産業界へ速やかに移転するなど、産官学連携を推進する中核的な研究所と位置付けられております。
医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構が行ってきた医薬品産業の利便を追求する遺伝子解析など研究開発振興業務と、国立研究所での基盤研究や生物資源研究が結び付けられ、製薬大企業のための支援が一層進められる一方で、採算性の低い希少疾病用医薬品の開発や医療機器の基礎的研究が形骸化されることが懸念されます。
以上の理由で、本法案に対する反対の討論といたします。