2004年4月9日 衆議院 本会議 日本共産党 山口富男議員
日本共産党を代表して、民主党提出の「高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案」について、質問します。
質問に先立ち、イラクでの日本人拘束という、許すことのできない蛮行にきびしく抗議し、政府が三人の安全と釈放のために、あらゆる努力をつくすよう、強く求めるものです。
今日、自衛隊派兵の政府の論議は、すべてくずれており、日本共産党は、あらためて自衛隊の速やかな撤退を求めるものです。
質問に入ります。
本案は、厚生年金、国民年金、共済年金を一元化し、納めた保険料に応じて給付を受ける「所得等比例年金」と、「年金目的消費税」を財源とする「最低保障年金」を創設するというもので、この二階建て制度を二〇〇九年度から導入し、「年金目的消費税」は、二〇〇七年から徴収する、としています。
第一に、本案の最大の特徴である年金財源に「年金目的消費税」を導入する、としている問題です。
政府・与党も、二〇〇七年度から消費税率引き上げを視野に入れています。民主党案は、結局、政府・与党に先んじて、消費税増税の旗を掲げたことになります。
現行五%の消費税に三%上乗せするだけでも、国民などに七兆五千億円もの、新たな負担増をしいるものです。これが、国民の暮らしを破壊し、景気に悪影響を及ぼすことになると考えないのですか。
しかも、「年金目的消費税」を「最低保障年金」の財源にあてるだけでなく、過去の年金債務を含めて、この税収でまかなうとすれば、当面三%としても、今後引き上げないという保障は、どこにもありません。年金給付を消費税に頼る以上、税率の引き上げは避けられないではありませんか。責任ある答弁を求めます。
そもそも、消費税とは、所得の低い人たちの生活と中小零細業者の営業をいためつける税制です。消費税の使い道を年金目的に特定したとしても、国民の消費生活から、広く一律に徴収するという消費税の本質は、なんら変わりありません。逆進性の強い消費税を、「最低保障年金」の財源に使うなど、もってのほかではありませんか。
第二に、財界・大企業の負担についてです。
財界は、二〇〇七年までに二ケタ税率を合言葉に、社会保障の財源を確保するためには、消費税しかないと公然と主張しています。日本経団連は、国庫負担を二分の一にする財源は「消費税が最もふさわしい」とし、さらに「国庫負担の全額間接税方式」の検討すら、打ち出しています。
大企業にとって、社会保障の財源に消費税を導入することは、年金保険料の二分の一の事業者負担を回避できる、まことに好都合な仕組みです。財界・大企業がこぞって年金財源を理由に消費税の大増税を主張するのも、このためです。
結局、民主党案は、社会保障の名のもとに、財界と大企業の負担を軽減するということではありませんか。はっきり、答弁いただきたい。
第三に、年金の給付水準の問題です。
本案では、いわゆる「モデル世帯」で現役時収入の五〇%程度の水準といわれます。これでは政府案と同じく、現行の給付水準五九%から五〇%へと実質一五%も給付を引き下げるということではありませんか。これも、はっきりさせていただきたい。
この間の世論調査でも、年金財源のために消費税を引き上げことに反対する声が六割を超えています。
「年金財源に消費税を使うな」という国民の判断は、すでに明確であることを申し述べ、質問を終わります。