2004年3月10日 衆議院 外務委員会 日本共産党 あかみね政賢議員
私は日本共産党を代表して日米新租税条約についての反対討論をおこないます。
新租税条約の中心点は、配当について持ち株50%以上の親子関係にある場合は免税し、さらに特許使用料についても免税したことであります。
配当も使用料も、源泉地国の経済活動がなければ発生しない所得であり、源泉地国で課税をいっさい認めないというのは適正とはいえず、受入国の課税権限を大幅に制約するものであり認めることはできません。
源泉地国での特許使用料を免除した点でいえば、特許大国であるアメリカが日本で得る使用料が、日本がアメリカで得る使用料よりもはるかに多く、アメリカの企業にとって有利となることはあきらかであります。
この新租税条約について、米財務省は「今後締結をめざす租税条約・改正の重要な前例になる」と評価しています。わが国も「この条約がわが国の新しい租税条約の基本的な方針」であり、世界各国と租税条約を交渉していくベースになる」と委員会で答弁しているように、日米の多国籍企業活動へのいっそうの便宜をはかるものとなっているのであります。
日本政府は、対米関係では不利である使用料免税にふみきった背景には、今後、中国をはじめとするアジア各国に日本の知的財産権を浸透させ、使用料収入を激増させ大きな利益をあげることができると考えているからであり、こうした経済・技術大国の利益本位の条約改正には賛成できません。
最後に、新条約は、現行条約が「新生銀行」の株式売却益を得た「リップルウッド」に日本が課税できない事態となったことの反省から、破綻金融機関の株式譲渡に対する課税を可能にしました。ところが、「5年以内」の譲渡と期間限定がつかられるなど事実上の「抜け穴」をもった不十分な規定であります。
以上の理由を申し上げて反対討論を終わります。