2004年3月5日 衆議院 総務委員会 日本共産党 吉井英勝議員
私は日本共産党を代表して、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案、所得譲与税法案及び地方交付税等の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
まず地方税法についてであります。本改正によって、平年度ベースで増減税あわせて1,439億円の増収が見込まれていますが、そのほとんどが個人住民税の老年者控除の廃止、均等割の引き上げという、個人の負担増によるものであります。一方、今回の減収額の最も大きなものは法人事業税の個別の課税標準の特例ですが、その恩恵は、銀行、鉄道、大手民間デベロッパーなど担税力のある法人が受けることになります。
非課税等特例措置の見直しでも、もっとも大きな増収要因となっているのが新築共同貸家住宅に係る固定資産税の減額特例の適用要件の引き上げで、最終的に入居者に負担が転嫁されるもので、これまた個人の負担増に結びつくものであります。一方、法人に対しては、鉄道事業者や海運業者等の固定資産税や都市計画税の課税標準の特例措置の延長に見られるように、その見直しはまったく不十分です。
このように担税力のある大きな法人には負担の軽減をする一方で、個人にばかり負担増を強いる改正内容は容認できません。
次に、地方交付税法、所得譲与税法についてであります。いずれも、国から地方への財政支出の圧縮を最大の狙いとした「三位一体改革」の法案でありますが、その内容は、国庫補助負担金1兆300億円、交付税2兆8,372億円、合計3兆8,672億円の国から地方への財源の削減に対して、税源移譲はわずか4,507億円であります。いくら「自由度が増す」、「元気が出る」などと言っても、税源移譲の規模が削減額のわずか12%では、まったくのかけ声倒れであります。「国は財政赤字を地方に押し付けているだけ。これでは三位一体どころか『三位バラバラの改悪』だ」との批判がでるのも当然であります。とりわけ、交付税の大幅削減は、全国の自治体から“予算編成ができない”との悲鳴にちかい声があがっており、一方的な圧縮は容認できません。
また、通常収支の財源不足について、国と地方で折半して、地方の負担部分は赤字地方債の増発で補てんするという昨年度の方法を踏襲していますが、これは、財源不足の国の責任を明記した地方交付税法や赤字地方債の原則禁止を規定した地方財政法に反する二重の脱法的手法と言わなければなりません。
地方交付税の財源保障機能の廃止が叫ばれる昨今、交付税法の原点にたった補てん方法が求められていることを最後に指摘して、討論を終わります。