2004年5月14日 日本共産党国会議員団
商店街の衰退の原因は、「バブル」崩壊後の経済失政と小泉「構造改革」によって国民の所得と消費購買力が押さえこまれ、売上げの大幅な減少が大きくひびいているうえに、郊外店の出店ラッシュや撤退、深夜営業など無秩序な「競争」激化が商店街を直撃しているのです。
こうした状態をつくりだしたのが、小泉内閣が「規制緩和」の名ですすめている大型店の出店・撤退、深夜営業などを“野放し”にする政策です。自民党政府は、アメリカの要求をうけいれて、大規模小売店舗法(大店法)の規制を相次いで緩和し、一九九八年には日本共産党以外の政党の賛成で大店法を廃止しました。その結果、大型チェーン店による無秩序な出店と営業時間の野放し状態は一気に全国にひろがり、近年、大型店同士の熾烈な競争がいっそう加速しています。
商店街や地域経済の問題にとどまらず、「まち」そのものが空洞化する深刻な事態が全国各地に生まれ、その悪影響は多方面におよんでいます。これは世界にも例のない異常な“ノン・ルール”であり、放置することができない危機的なものです。
いま、国がやるべきことは欧米諸国の経験に学び、これまでの規制緩和一辺倒の政策ときっぱり手をきることです。大型店の乱開発の規制と商店街の振興・再生とを“車の両輪”とする「まちづくり」ルール確立の方向こそ、世界の流れです。
全国各地で、「高齢者が歩いて買い物のできる商店街を」「安心して住みつづけられる街づくりを」という中小商店主と地域の住民・消費者、行政による新しい模索と取り組みが生まれています。これを支援し、花開くようにすることこそ政治の責任です。
日本共産党はここに、大型店の身勝手をゆるさず、地域の商店街、中小商店の値打ちが発揮される「まちづくり」ルールについて政策提言をおこない、国民的な議論と合意づくりをよびかけます。
およそ民主主義の国なら、自分たちが住み、働き、暮らす「まち」をどんな「まち」にするのか、自治体と住民が自ら決定することができるのが、当たり前の地方自治の大原則です。ところが小泉内閣がやっていることは、「構造改革」の名で「まち」の中で大きな位置を占める大型店の一方的な出店・撤退など身勝手な“自由”を守るだけの「規制緩和」にほかならず、逆に住民と自治体には厳しい規制をかけているのです。
大型店の立地と事業活動、道路交通と駐車場、環境対策や多様な商店街・商業集積のあり方について、「まちづくり」条例の制定などによってルールを確立し、地域の主人公である住民と地方自治体が自ら決定できるようにすべきです。
政府は、大店法を撤廃したときに、かわって「街づくり三法」(大店立地法、中心市街地活性化法、「改正」都市計画法)を制定しました。しかし、五年以上がたち、これが機能せず大失敗だったことはいまや誰の目にも明らかです。
ところが小泉内閣は、大店立地法の最低限の環境規制の手続きさえ「構造特区」を名目に骨抜きにしようとしており重大です。
大型店と地域の商店街との共存・共生、「まちづくり」のルールをつくる上で、次の提案をおこないます。
地域社会に根づいている中小商店・商店街は、住民生活に必要な利便を提供し、地域の「まつり」や伝統・文化、青少年の教育、防犯・安全、防災への貢献など、「地域コミュニティの核」として地域社会を支えています。豊かな商品知識と「目」をもち、豆腐屋、ラーメン屋など多彩な「ものづくり」職人の集積地でもあります。一方、大型店の収益は、すべて地域外の本部が吸い上げてしまいますが、商店街の収益はその地域内の産業と雇用に還元され、循環して地域社会を潤します。
このような商店街の多面的な機能、値打ちは地域社会と住民生活にとってなくてはならない、いわば「地域共有の財産」です。
この商店街の機能がいま重大な危機にあるもとでも、全国各地の中小商店主、商店街や地域の住民らの努力によって、こうした商店街の本来の役割、大型店にはない魅力をいかした様々な取り組みが行われています。
こうした「地域の共有財産」、「まちづくりの中心的担い手」である商店街・商業集積の値打ちを見直し、発揮するようにすることは、「まちづくり」を考えるうえで不可欠なことではないでしょうか。いまこそ国や地方自治体が本腰を入れて地域・中小商店の再生にむけ、総合的な取り組みをおこなう必要があります。
「地域の共有財産」にふさわしい商店街の値打ちを発揮するためには、中心市街地とそれ以外の地域の商業・商店街がともにそれぞれの役割を果たすよう総合的な「まちづくり」にしなければなりません。
【政策提言全文】