日本共産党

2004年5月21日 衆議院 内閣委員会 日本共産党 吉井英勝議員

公益通報者保護法案に対する修正案要綱

第一 目的規定の修正

 目的規定について、下請等事業者に対する不利益取扱いの禁止を位置づける等、第二から第六までに伴う所要の修正を行うものとすること。                        (第一条関係)

第二 保護される公益通報者の範囲の拡大

  次のような修正を行い、労働者のみならず、弱い立場にある下請等事業者についても、保護の対象に含めるものとすること。

一 「公益通報」の定義

 「公益通報」を、@労働者が行う公益通報(労働者公益通報)に加え、A下請等事業者が行う公益通報(下請等事業者公益通報)を含めた形で定義するものとすること。      (第二条第一項関係)

二 「下請等事業者公益通報」の定義

 一のAの「下請等事業者公益通報」とは、下請等事業者が、不正の目的でなく、親事業者又はその役員、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又は生ずるおそれがある旨を、親事業者等、行政機関又は外部通報先に通報することをいうものとすること。      (第二条第三項関係)

三 公益通報下請等事業者に対する不利益取扱いの禁止

 公益通報を行った下請等事業者に対して、当該公益通報を行ったことを理由として請負契約等の解除その他不利益な取扱いをすることを禁止するものとすること。            (第八条関係)

四 孫請け等の場合に関する規定

 下請等事業者が行う事業について数次の請負契約等が締結されているとき(孫請け等)についても、必要な規定を置くものとすること。                    (第二条第三項等関係)

第三 通報対象事実の範囲の拡大等

一 「通報対象事実」の定義

 「通報対象事実」を次のような形で定義することにより、通報対象事実を、特定の法律に規定する犯罪行為の事実に限定せず、法令違反一般及び実質的公益侵害に拡大するものとすること。

                                     (第二条第五項関係)

@ 法令に違反し、又は違反するおそれがある事実

A @に掲げるもののほか、個人の生命又は身体に重大な影響を与えるおそれがある事実

二 通報対象事実が「生ずるおそれがある旨」の通報

 政府案では、通報対象事実が「まさに生じようとしている旨」の通報を保護の対象としているが、これを、「生ずるおそれがある旨」の通報に拡大するものとすること。     (第二条第二項等関係)

第四 外部通報要件の緩和

 外部通報をしやすくするため、外部通報の要件を、行政機関への通報と同等とするものとすること。

                                     (第三条第一項等関係)

第五 他人の正当な利益等の尊重の規定の削除

 政府案第八条(他人の正当な利益等の尊重)の規定は、公益通報をすることを萎縮させるおそれがあるため、削除するものとすること。

第六 立証責任の転換

 公益通報を行った労働者に対する救済を実効性あるものとするため、解雇又は不利益取扱いを争う訴訟において、事業者側に主要な事実の立証責任を課すものとすること。      (第三条第二項等関係)


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