日本共産党

「テロ特措法延長案」 反対討論

 2003年10月9日 参議院 テロ特別委員会 日本共産党 井上哲士議員 

 私は、日本共産党を代表してテロ特別措置法の延長法案に反対の討論を行います。
 テロ特措法は、アメリカが対テロを掲げておこなう報復戦争を支援するために、憲法第9条を踏みにじって自衛隊を海外に出動させるという、明らかな憲法違反の立法であり、その延長は断じて許されません。

 反対理由の第1は、戦争によってテロをなくすことはできず、アメリカの軍事力による対応がテロと戦争の悪循環を激化させているからであります。
 アフガニスタンでの報復戦争開始から2年が過ぎましたが、いまだにテロを引き起こした勢力はネットワークを保持し、ビンラディンの拘束さえできない状況です。それどころか、クラスター爆弾なども投下し、民間人も多くの犠牲者を出したことは、新たなテロの土壌を拡大しています。アナン国連事務総長も9月23日の国際テロ会議において「我々が軍事力だけでテロを敗北させることが出来ると考えるなら間違いをおかすことになる」と指摘しています。世界に誇る平和憲法を持っている日本が今やるべきことは、報復戦争の支援ではなく、テロを許さない国際社会の団結をつくり、国連が主体となった司法と警察の国際協力によって、テロを封じ込めていくことであります。

 反対理由の第2は、テロ特措法の下でインド洋に派遣されている自衛隊が、アフガニスタンへの攻撃などを実行する米艦船への給油活動を行うにとどまらず、イラク戦争に参加する米軍を支援していたという脱法行為について明らかにしないまま、法律を延長しようとしていることであります。
 イラク空爆を行った空母キティホークが、自衛隊の補給艦から米補給艦を通して給油されていると、米軍の公開資料に明記されているにもかかわらず、政府は、その事実の確認すらしないという態度に終始しています。

さらに、小泉首相はインド洋派兵の見通しを問われ、「テロの脅威が続く限り」としか答えられず、引き揚げる見通しも示せませんでした。しかも「テロの脅威が除去」された事態とは何か、具体的に明らかにされていません。これでは、限度なき派遣延長につながる危険が極めて強いこともあわせて指摘しておきます。

 最後に、小泉首相が一片の道理もないことが明白になったイラク戦争を支持した誤りを認めず、米英のイラク占領支配を支援する自衛隊のイラク派兵を押し進めようとしていることに強く反対する立場を表明して、討論を終わります。


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