日本共産党

裁判官給与法「改正」案 反対討論

2003年10月3日 衆議院 法務委員会 日本共産党 瀬古由起子議員 

 私は、日本共産党を代表して、「裁判官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案」に対する反対討論を行います。
 反対の第一の理由は、裁判官の報酬を減額することは、憲法で保障された裁判官の身分保障の規定に反するからです。
裁判官の報酬については、憲法第七十九条、第八十条において、「裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない」と規定されています。
 これは、就任当時に約束された報酬額を在任中は保障するという趣旨であります。裁判官はその職務の特殊性及び責任の重大性から見て、高い教養と清潔・公正、豊かな人間性が強く求められ、期待されており、経済的な面から裁判官の独立を侵されることがないよう配慮しているものであります。本法案の報酬の減額は、憲法で保障された裁判官の独立を脅かすものであり、強く反対します。

 反対の第二の理由は、本法案が準拠した人事院勧告が、国家公務員給与の引下げを勧告した点であり、到底認めるわけにはいきません。
 人事院勧告制度は、本来憲法で保障された労働基本権を、公務員ということを理由に剥奪・制限した代わりに導入された代償措置であります。人事院が公務員の利益を図るどころか、利益を害するような勧告をするのであれば、もはや代償措置とは言えず、無用な機関となってしまいます。
 国家公務員の給与の引下げは、地方公務員や特殊法人など公的部門の給与引き下げ、さらに民間企業の給与引き下げの圧力につながるものであり、社会全体の所得水準を引き下げ、いっそうの消費の落ち込みを招き、景気対策に逆行し、この点からも反対です。

 反対の第三の理由は、今回の人事院勧告実施が、給与引き下げを四月にさかのぼって適用し、年末調整で精算するという点であります。
 このような手法は、民間でも行われておらず、不利益遡及の脱法行為と言えるものであり、認めるわけにはまいりません。
 以上、反対の理由を述べ討論といたします。


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