日本共産党

個人情報保護法案に対する討論

2003年7月28日 参議院 個人情報特別委員会 日本共産党 宮本岳志議員

 日本共産党の宮本岳志です。委員長のお許しをいただいて、ただいまの委員長の御発言にありました警察庁の報告書について、一言意見を述べさせていただきます。

 この問題は、本委員会の審議の過程で、警察と大手金融業者武富士をめぐる重大な疑惑が明らかになり、谷垣国家公安委員長も小泉総理も調査の結果を国会に報告することを約束せざるを得なくなったものであります。しかし、去る二十二日の理事会における警察庁の報告は、問題の全容解明にも厳正な処分にもほど遠い、極めて不十分なものだったと言わざるを得ません。

 まず第一に、報告書は合計十四名の警察官に合計一千枚近いビール券が贈られていた事実を認めながら、これを一切贈収賄事件として立件せず、わずか三人を警視総監訓戒又は戒告などという甘い処分で済ませようとしていることです。

 私がこの委員会で明らかにした一連の事実は、このビール券の見返りとして警察官の職務自体がゆがめられたという加重収賄にも相当する疑いが非常に強いものであります。それを逮捕もせず、送検されて辞職した警視正でさえ退職金が全額支払われるなどということは、到底国民の納得を得られるものではありません。

 第二に、電気通信事業者の個人情報保護の責務を侵す形で警察から武富士へと漏えいされた電話名義人情報について真剣な追及を行わず、地方公務員法違反についての時効の成立を理由として刑事処分の対象から除外した点であります。

 私の質問に対し吉村官房長は、電話名義人情報は警察が捜査関係事項照会という文書によって入手していることを認めました。そして、不正な目的で作成した捜査関係事項照会の使用は虚偽公文書作成、同行使に当たるのではないかとの私の指摘に、官房長は慌てて同席者に時効の期間を確認し、それが成立しないと分かるや、情報の入手は適正だった、相手への渡し方が悪かったなどと強弁したのであります。これでは、正に時効を口実に、できるだけ処分を軽くしようとしていると言わざるを得ないではありませんか。

 第三に、今回直接の処分の対象となった事実の背後にどのような組織的不正と腐敗の構造が広がっているのかについて、何ら究明の努力の跡が見られないという点であります。

 私は、理事会での質疑で、武富士から文書を持ち出したとされる中川氏の陳述書について指摘をいたしました。中川陳述書には、警察情報は警察関係者から直接入手する以外に、日本シークレット・サービスという警備保障会社を通じても入手していたという重大な記述があります。この日本シークレット・サービスは、元警察幹部が役員を務め、歴代警察庁長官経験者が顧問に名を連ねる完全な警察の天下り会社であること、そして中川陳述書の信憑性を裏付けるJDBのアクセスログまで私が示したにもかかわらず、警察庁はこれを誠意を持って受け止めることすらしませんでした。

 最後に、二十二日の理事会後の協議では、与党理事からさえ、これでは納得は得られそうにないとの発言もありました。警察庁が自浄能力を発揮できないのであれば、やはり国権の最高機関たる国会が国民を代表してこれを明らかにしなければなりません。

 本委員会の設置は今日まででありますが、場所を所管の常任委員会に移してでも、引き続き調査を進める必要があります。私も、この問題の全容が徹底的に明らかになるまでこれに取り組んでいく決意を述べて、意見表明を終わります。


このほかの討論 → 【討論一覧】 (156通常国会 2003年 1/20〜)

個人情報特別委員会の質問と討論の一覧】 【5月21日の質問一覧


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