日本共産党を代表して、商法等一部改正案に対する反対討論を行います。
この間の商法改正は、商法の根本原則を変革するものでありながら、経済界の目先の意向に従い、議員立法という形で進められ、商法学者から異例の批判声明も出されました。
そもそも、日本経済の基本構造を規定する重要な商法の改正を行うときは、当然に法制審議会において十分な議論を行い、慎重な検討を重ねるべきであります。それが、このように拙速に改正を進めることは断じて認められません。
以下、反対理由を述べます。
その第一は、本改正が、自己株取得方法の緩和により、債権者保護のための資本充実・維持の原則を一層形骸化し、株主平等の原則の例外を作るなど商法の原則を崩し、相場操縦、インサイダー取引のおそれを増大させるものだからであります。
本法案審議のさなかに、自社株取得情報を知り得る立場にあった大手パソコンメーカーの社員が、当該情報に基づいてインサイダー取引をしていたと証券取引等監視委員会に告発されました。今回の改正で自己株取得が定款の授権による取締役会決議で可能になれば、こうしたインサイダー取引を助長することは明らかです。
反対理由の第二は、中間配当限度額の計算方法の見直しが、株価対策を目的に極めて拙速に進められた二〇〇一年商法等改正案のミスを糊塗するものであり、法定準備金の取崩し額等を中間配当の財源にすることをできるようにするなど、資本充実・維持の原則を形骸化するものだからであります。
以上、反対の理由を述べ、討論を終わります。