日本共産党の池田幹幸です。
私は、日本共産党を代表して、保険業法一部改正案に対する反対の討論を行います。
本法案に反対する第一の理由は、保険契約者の保護の名の下に、逆ざや問題を専ら保険契約者の犠牲によって解消しようとしている点であります。本法案が実施されれば、一部の契約者には四〇%を超えるような保険金の削減という耐え難い負担が求められます。正に国民の生活設計を根本から狂わせるものであります。
そもそも、保険会社の経営悪化を招いた主な原因の一つは、この二年間の株価の大幅下落を始めとする経済環境の悪化であります。小泉内閣の経済政策の失敗を契約者にツケ回しすることは許されません。
また、一義的に責任のある保険会社の経営者や銀行などの株主、出資者の責任の取り方については、法案による規定はなく、保険会社任せとなっています。このような仕組みは、経営者や出資者のモラルハザードを招くものであり、結局、国民犠牲の下に銀行などの出資者を救済するものであります。
第二の理由は、契約違反を公然と認め、社会の基本的なルールを破壊しようとしていることであります。
生命保険は保険会社と国民が保険契約を結ぶことによって成立するものです。本法案は、保険会社には約束した保険金は払いませんという明らかな契約違反を許し、その負担を弱い立場に置かれている保険契約者に押し付けるものであります。
金融庁は、保険会社と契約者の自治的手続によることで契約違反を正当化しようとしています。しかし、今回のスキームは、形骸化した総代会が意思決定機関と位置付けられ、契約者の唯一の手段である異議申立ての要件も厳格に定められるなど、契約者の意思を反映するものとは言えません。これではとても自治的手続とは言えません。
第三の理由は、一昨年の金融審議会で国民・保険契約者の社会的認知が十分に得られて初めてその導入が可能となるものだと確認されたにもかかわらず、国民の理解を全く得ていないことです。
現在、世論調査でも予定利率引下げに賛成はわずか五・八%であります。五月の金融審議会でも反対意見が多数でした。審議会の委員も当委員会の参考人質疑で、本法案は審議会が裏書したものではないと明言しています。審議を通して、政府は社会的認知が得られたことを証明できませんでした。このような法案を提出したこと自体、重大な過ちであります。
以上、反対討論を終わります。
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