私は、日本共産党を代表して、政府提出の電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
本法案が提出されるに至った背景には、急速なIT技術の発展やインターネットの普及によって、電話事業を基本に第一種と第二種と区分して規制する現行の電気通信事業法の枠組みが、現実の電気通信事業の現状にそぐわなくなったことであります。世界の最先端を行く携帯電話サービス、ADSLやIP電話などの最新のブロードバンドサービスの発展や普及は目覚しいものであります。そのなかで、いわゆる固定電話は、ユニバーサルサービスとして、日本の情報通信サービスの土台となっているだけでなく、そのネットワーク無しには、携帯電話やADSLなどのサービスもなりたたないというまさに、日本の情報通信の基盤であります。
政府・総務省は、このネットワークを維持し、ユニバーサルサービスを提供するNTTを東西に分割するなどの競争政策を推進してきました。
しかし、この分割は、ユニバーサルサービスに容認できない東西格差を生み出し、始まったIP電話などとの競争は、基盤である固定電話ネットワークを無秩序に侵食しており、競争の激化によって、基盤のネットワーク料金が反対に上昇するという事態に至っております。
現状が求めているのは、第一種第二種の廃止など競争万能哲学に基づく電気通信事業法の改革ではなく、日本の情報通信サービスを総合的に発展させていく規制枠組みであります。そのためにも、不合理な現行のNTTの分割体制を再編し、NTTがユニバーサルサービスだけでなく、ネットワークを合理的に提供できるようにすることです。
今回の電気通信事業法及びNTT法の改正に反対の第一の理由は、破たんしたこれまでの競争万能政策を踏襲しており、小手先の手直しで、抜本的電気通信事業規制の改革になっていないだけでなく、改革も方向違いであるということです。
第二の理由は、相対契約の解禁などによって、公共性の高い電気通信事業の利用者の間における不公平が一層拡大するおそれがあるからであります。また、参入・退出規制の大幅緩和は、通信事業者の倒産や売却などによる個人情報の大量流出という危険を大きくするものであります。
最後に、電気通信事業の現状が求めているのは、破たんしたこれまでの競争政策を抜本的に見直し、電気通信サービスを総合的に発展させる枠組を構築すること、インターネットなど電気通信サービスの発展に対応した消費者保護や個人情報保護などの新たな規律を作ることであるということを指摘し、私の討論を終わります。