日本共産党

イラク特措法案の反対討論 (大要)

2003年7月3日 衆議院 イラク特別委員会 日本共産党 赤嶺政賢議員

 私は、日本共産党を代表し、イラク特措法に対し、反対の討論を行ないます。

 本法案は、イラク国民の将来と世界の平和秩序、日本国憲法に関わる重大法案であります。この間の審議で、国連憲章と国際法に照らし、米英によるイラク戦争とそれにつづく軍事占領に正当性があるのか、法案の前提そのものが問われ、また、全土で戦闘が続くイラク国内にどうして「非戦闘地域」を設定できるのかなど、法案の根幹にかかわる数々の疑問に、政府はいまだまともな説明ができないのであります。

 しかも、イラクの現地情勢をどうみるか、与党と野党の現地調査団の報告は、真っ向から対立しています。本委員会として、責任を持って現地調査を行うべきであります。法案に対する国民の評価も分かれています。中央、地方で公聴会を開き、国民の声を聞くべきであります。にもかかわらず、わずか1週間の審議で、こうした重大法案の採決を強行することは断じて許されません。与党3党に対し強く抗議するものであります。

 以下、反対理由をのべます。

 第一に、本法案は、イラクの復興・人道支援法などではなく、米英軍の軍事占領に日本が参加・加担する、まさに軍事占領支援法であります。 

 国連安保理決議1483は、無法な戦争に基づく占領行政に合法性を与えておらず、占領行政に対する国連加盟国の協力を要請しているものでもありません。無法な戦争に基づく軍事占領への支援を行なうことそのものが、違法・不当なものであります。

 米英による軍事占領は、イラク国民から深刻な抵抗・反発を受け、旧政権勢力などとの衝突が続発し、これに対し米英軍は、治安維持の名のもとに掃討作戦を展開しているのであります。その米英軍を自衛隊が支援することになれば、イラク国民の目に占領軍の加担者と映ることは明らかであります。イラク国民と砲火を交えるという危険極まりない事態も現実に想定されるのであります。米英によるイラクの長期軍事占領支配に日本が参加・加担することは、断じて容認できません。

 第二に、イラクへの自衛隊の派兵は、憲法の平和原則に真っ向から反するものであります。

 本法案は、戦後初めて、現に戦闘が行なわれている地域に、自衛隊の陸上部隊を展開させるものであります。政府は、イラク国内に「非戦闘地域」が設定できると言いますが、イラクの実情に照らせば、これが全くの虚構の議論であることは明らかであります。現に米兵に対する攻撃が連日、起こっており、米軍の司令官自身が、「イラク全土が戦闘地域」「戦争はまだ終わっていない」と発言しています。このようなイラク国内で、自衛隊が武器・弾薬を含む輸送、補給、医療などの後方支援を行い、攻撃を受ければ応戦するのであります。これが、武力による威嚇、武力の行使、交戦権を否認した日本国憲法に反することはあまりにも明らかであります。

 第三に、この法案が前提としている米英軍によるイラク戦争は、そもそも正当性がない無法な戦争であることが、いよいよ明白であります。

 安保理事会がイラクに対する武力行使を認めていないことは明らかであり、これを追認、合法化することは許されません。ましてや、戦争の最大の「口実」とされた大量破壊兵器がいまだ発見されておらず、「保有」を「断言」した根拠・責任について、政府は何ら明らかにしていません。どこからみても戦争の「大義」が根底から崩壊しているのであり、このもとで自衛隊を派兵することが、全く道理のないものであることは明らかであります。

 第四に、日本がやるべきイラク支援は、イラク国民の意思を尊重した、国連を中心とする、非軍事の人道・復興支援でなければなりません。

 わが党の現地調査団に対しても、医療や水、食料などさまざまな分野で日本の支援を求める声が寄せられました。こうした声にこたえるべきであります。イラク国内に自衛隊を派遣し、イラク国民に敵対する軍事占領支援を行うことは、イスラム社会と日本の友好関係に深刻な障害をもたらすことは必至であり、断じて許されません。

 なお、民主党修正案については、自衛隊派兵を法案から削除することは前向きなものですが、米英軍によるイラクの軍事占領支配に日本が参加・加担するという枠組みは残されており、賛成できません。

 最後に、私は、戦後初めて、いまだ戦闘がつづく海外に自衛隊を派兵し、イラク国民に銃口を向ける法案を、「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」というアメリカの要求のまま、「自衛隊派遣、先にありき」ですすめる小泉内閣の姿勢をつよく批判し、反対討論を終わります。


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