私は日本共産党を代表し、保険業法一部改正案に反対する討論を行います。
本法案に反対する最大の理由は、いわゆる「逆ざや」問題をもっぱら契約者の犠牲によって解消しようとしているからであります。これは、契約者が受け取る保険金を大幅に削減するものであり、国民の生活設計を根本から狂わせるものであります。
しかも、質疑のなかで問題点が次々と浮き彫りになってるにもかかわらず、本日採決を強行することは到底容認できません。
新規契約が落ち込み、高い水準の解約が続いている生保業界にとって、いま一番求められるのは、契約への信頼性を高めることであります。本法案によって破たん前の契約変更を認めることは、生保業界に対する不信感を広げ、保険業界をますます危うくするものであります。政策の方向がまったく逆行していると言わざるを得ません。
生保会社の経営を追い込んでいる最大の原因は、デフレを加速し金融の機能不全を引き起こし、まともな資産運用を不可能にしている小泉内閣の経済大失政にあります。
保険業界全体としては、本源的利益はプラスになっています。それを株価の下落が食いつぶしているのであります。本法案は、小泉内閣の経済政策の失敗を契約者につけまわしするものに他なりません。
金融庁は、今回のスキームを「自治的手続だ」などと言いますが、実際には、行政命令による申請の促進、解約の停止命令などを盛り込み、予定利率引下げを上から推進しようとしています。しかも、形骸化した総代会を会社の意思決定機関とし、異議申立ての要件を厳格にするなど、契約者の意志を踏みにじるものになっています。これでは、とても「自治的手続」とはいえません。
さらに本法案は、生保会社を破たん前に処理することにより、銀行が拠出した基金などの毀損を回避しようとするものであります。これは、ほんらい銀行や受け皿会社が負担すべきコストをまぬがれ、何の責任もない契約者だけに一方的に負担を押しつけながら、生保業界を整理・再編するねらいを持つものであり、認められません。
予定利率の引き下げについて検討した2年前の金融審議会は、国民・契約者の理解、すなわち「社会的認知」が制度導入の前提だと強調し、現時点では環境が整っていないと結論づけていました。
この状況は、今日でも、まったく変わっておりません。世論調査では、予定利率の引き下げへの反対の声が過半数を超えています。5月の金融審議会でも、反対意見が多数であり、法案の内容についての合意は一切ありません。審議のなかでも、政府は、社会的認知が得られた証拠を、まったく示すことができませんでした。
にもかかわらず、あくまで法案を押し通そうという、政府・与党の国民無視の乱暴な態度を厳しく批判し、反対討論といたします。