日本共産党

「出会い系サイト」規制法案の反対討論

 2003年6月5日 参議院 内閣委員会 日本共産党 吉川春子議員

 私は、日本共産党を代表して、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律案に対する反対討論を行います。

 児童の権利条約三十四条で、あらゆる形態の性的搾取から児童を保護することを定め、九六年、ストックホルムでの児童の商業的性的搾取に反対する世界会議では、児童の性的搾取を犯罪とし、これにかかわったすべての犯人を有罪とするも、その際、かかる行為の犠牲となった児童を処罰しないことが確認されています。これを受けて、九九年、超党派の参議院議員提案の児童買春・ポルノ禁止法が施行されました。

 本法案の最大の問題点は、今述べた国際、国内の法、宣言に反して、インターネット上の書き込み行為をもって児童をその処罰の対象としたことであります。すなわち、買春行為の相手方となった児童について、金銭の授受を伴う交際及び性交等の行為の誘引行為を罰することにし、処罰の対象を拡大したことは大きな問題です。

 出会い系サイト規制も児童買春・ポルノ禁止法における児童を処罰しないという法体系の中で行うべきものと考えます。

 児童を処罰の対象にすることは、買春する側の大人の犯罪性を弱め、児童にも落ち度があると児童にも責任をかぶせようとするものでしかありません。これは、子どもの権利条約、ストックホルム宣言などの到達点を後退させるものであり、児童買春は違法であるという世論をしっかりと形成する上で有害な役割を果たしかねません。

 第二に、犯人割り出しのため、プロバイダーに個人情報を提出させることになりますが、捜査過程で通信の秘密、プライバシーの権利の侵害などが行われるおそれがあることです。

 第三には、事業者の責務を努力義務にとどめていることは問題です。

 第四に、出会い系サイトに現われる書き込み誘引行為にすべて網を掛けようとする余り、児童の出会い系サイトにおける異性交際を禁止してしまうことになっています。それは、悩み迷う子供たちの心のはけ口を奪うとともに、異性交際における自律的な判断能力の形成を阻みかねません。

 児童買春の根絶のためには、出会い系サイトに関していえば、携帯電話に送られてくる迷惑メールが児童が被害者となる原因の大きな部分を占めており、国や事業者がその責任を明確にし、迷惑メール防止対策、携帯電話等に関する児童に対する適切な教育、父母に対する啓発活動などによってこそ犯罪の減少につながるということを指摘して、反対討論を終わります。


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