私は、日本共産党を代表して、政府提出の主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。
反対の第一は、本法案が、日本人の主食である米の需給調整と価格形成に対する政府の管理責任を放棄し、米を市場原理のもとに一層ゆだねるものであるからです。米の輸入、関税引き下げなどがWTO農業協定の次期交渉で取りざたされている中で、本法案によって米価の一層の下落や米生産のさらなる困難が加速されることは必至です。このことは、我が党国会議員団の全国米調査でも明らかになりました。米の需給管理、価格形成は国の責任で行い、国は食料自給率の向上と国民に対する米の安定供給に責任を果たすべきです。
第二に、政府買い入れの米の価格について、「米穀の再生産を確保する」旨を削ることは、米価下落への歯どめ策が一切なくなり、国の経営安定対策を大きく後退させるものです。そして、自主流通米価格形成センターを米穀価格形成センターに変更し、上場義務をなくすなど一層の規制緩和を推し進めることは、これまで以上に価格形成の公正さを失わせるものと言えます。
第三に、本法案は、生産調整について、農業者、農業団体が主役となる仕組みを実現し、国の役割は助言、指導にとどめるとしています。これは、国が生産調整から撤退し、農家、農業団体に押しつけるものです。生産調整の配分はこれまでの減反面積から生産数量に変え、その数量も、豊作で売れ残った場合、翌年の配分から減らすという仕組みでは、農家の増産意欲を奪うものでしかありません。
第四に、過剰米短期融資制度を創設し、過剰米を農家の責任において低価格で処理させることは、米価下落を一層促進するものと言えます。たとえ減反を一〇〇%達成したとしても、豊作や消費の落ち込み、そして輸入米の増加等に伴って過剰米が発生した場合には、農家の責任でえさ用や加工用などに処理しなければなりません。こうしたやり方では、農家の閉塞感を解消するどころか、ますます深まることになることは必至です。
第五に、計画流通米制度を廃止して届け出制を導入することは、米市場への大企業の参入に拍車をかけ、米流通を投機的な状態にするものです。こうした米流通のさらなる規制緩和は、価格操作や買い占め、売り惜しみの機会を拡大し、また品位等の検査義務の廃止は、にせ国産米などの偽装表示で国民の不信を広げることになりかねません。
私は、このような問題点を持つ本法案に反対するとともに、今求められている米政策は、生産費を償う米価を保障する仕組みをつくり、ミニマムアクセス米を大幅に削減あるいは廃止し、小麦や大豆などの転作条件を整備して増産させ、国が米の価格と需給の安定に責任を持ち、大企業の米流通支配を許さないことであることを述べます。
なお、民主党、社民党提出の法案については、米流通を一層規制緩和するなど我が党の政策とは相入れない部分もありますが、所得補償制度を創設することなど、稲作経営を守る立場から評価できるものであり、賛成するものです。(拍手)