私は、日本共産党を代表して、地方独立行政法人法案及び同法施行法案に対する反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、この法案が、地方独立行政法人の運営や監督について、地方自治の重要な柱であり住民の代表機関である地方議会の関与を外し、住民訴訟や住民監査制度の適用外とするなど、民主的地方自治制度を形骸化させる重大な問題を持っているからであります。法人の財務諸表等の承認や法人の請負契約の締結などの議会承認制度を求めている全国都道府県議会議長会など三議長会の要望すら無視する法案内容は、到底認めることができません。
また、全国自治体には既に公営企業や社会福祉法人を除いて一万社以上の地方公社、法人が活動しており、中には巨額の損失をもたらし自治体財政を圧迫している開発型第三セクターが大きな社会問題となっており、地方議会や住民監査による第三セクターに対するチェック機能の強化の声が高まっています。法案は、この流れに逆行し、再び三セクの失敗を繰り返そうとしているものと言わなければなりません。
第二は、この法案が対象とする住民サービスは、全国で五万四千施設以上、自治体職員数で五十万人余り、水道や病院、公立大学、交通、保育、老人ホームなど、一億二千万人国民のすべてに関係する行政サービスとなっていますが、これらの事業が自治体の手から地方独立行政法人に移行すると、経済効率優先の評価制度、法人の恣意的な判断による事業縮小や廃止などを通じて、行政サービスの低下、縮小あるいは廃止につながる重大な問題を持っていることです。
第三は、この地方独立行政法人制度が、それまで自治体職員として職務についていた方々を長の判断で一方的に非公務員に移行させる仕組みを取り入れているなど、自治体職員の身分保障と権利を危うくするものとなっており、そのことが自治体行政の安定性を損なうことにつながるからです。
最後に、住民福祉の向上を責務とする自治体の活動と地方自治制度の発展のために、地方制度の中に新しい制度を取り入れる法律案を審議する場合には、自治体の皆さんや住民団体の方々の御意見によく耳を傾け、慎重に審議することが国会の責務であることを申し添えて、私の反対討論を終わります。(拍手)