構造改革特別区域の一部を改正する法律案について、私は日本共産党を代表して反対討論を行います。
本法案は、七本の法律を一括して規制緩和し、特区内でその特例を認めようとするものです。農家の民宿などによるどぶろくの製造を認めた酒税法の特例以外の法改正には多くの問題があります。本来、七本の法律を一括した法案ではなく、特例ごとの法案として十分審議されるべきです。
法律の内容に即して言えば、第一は、学校法人でない株式会社に学校設置を認めているからです。
株式会社の場合、利潤が上がらなければ学校経営から撤退することになります。学校が破綻することは、その生徒の将来にとって重大な問題です。法案は、それを予想し、経営破綻した場合に備え、特区の認定を受けた地方自治体に転学等のあっせんを義務付けています。しかし、高校の破綻などは認定の自治体だけで責任の負える問題ではありません。
教育基本法において、教育の公共性を担保するために、国、地方公共団体のほか、私立学校法で定めた基準を満たした学校法人のみに学校設置を認めるとしているように、本来、営利を追求する株式会社には教育の公共性とは両立し得ないものであり、株式会社による学校の設置を認めることは教育の公共性を崩しかねないものであり、容認できません。
第二は、特区において臨時的任用職員の任期を最長一年から三年に延長する地方公務員法の特例は、使用者に使い勝手の良い公務員労働の仕組みを作るものにつながるからであります。
これは、地方公務員の不安定雇用の拡大を招き、公務部門に不安定雇用や劣悪な労働条件で働く職員を増やすものです。公務部門内に待遇の劣悪な職員を増やすことは、地域の労働者全体の雇用と労働条件に悪影響を与え、地方公共団体の住民サービスの充実など、公共的責務の遂行に新たな障害を生むものであるからです。
政府がこれまで十年以上にわたって進めてきた規制緩和は、失業の増大をもたらし、福祉を切り捨て、中小企業、農業に大きな打撃を与えてきました。構造改革特区は、提案の形を変えただけで、基本的にはこの規制緩和路線を一層進めるものであることを指摘し、反対討論を終わります。