私は、日本共産党を代表して、電波法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
一九九二年に電波利用料制度が導入されて以来、政府は、これを受益者負担の制度だと繰り返し、一貫して使い道を電波行政の狭い枠の中に限定してきました。また、電波利用共益費と位置付け、東京タワーからの大きな出力の電波と過疎地での中継局とが同じ料金では整合性がないとの我が党の指摘にも全く耳を傾けませんでした。
しかし、政府の進める強引な地上波テレビのデジタル化路線によってアナ・アナ変更対策費が膨れ上がることが明らかになり、その費用を捻出するためには従来の政府の立場では説明がつかないことになって、完全な破綻に立ち至ったのであります。
電波は本来、国民共有の財産であり、その電波を免許人が排他的に占有使用する以上、電波利用料は国民全体のために使用すべきことは当然の理論的帰結です。自らの立場が全く破綻したにもかかわらず、二〇一一年アナログ停波に固執し、アナ・アナ変換費用の見積もり違いに表れたずさんな計画を反省することもせず、妙な理屈を並べては訳の分からない制度を作り続けるというのでは、ますます破綻は避けられません。
反対理由の第一は、破綻済みの地上波テレビのデジタル化スケジュールをいったん白紙に戻し、国民的に合意を得られる無理のない計画に再検討するなら、今回加算しようとしている電波利用料額はそもそも不要だからです。自分たちの失敗を失敗とも認めず、それを強引に進めるために従来の自らの説明とも食い違う追加負担を放送事業者に求めるというのは、何ら合理性がありません。
反対理由の第二は、無線機器の安全チェックの緩和と、それに係る国の責任の放棄です。無線通信分野の製品の場合、技術基準不適合品による混信や通信妨害が発生することが危惧され、安全チェックには極めて慎重な態度を取ることが必要です。消費者団体や関係団体からも不安を訴える声や慎重な検討を求める意見が出されており、このような下での技術基準適合証明の規制緩和は認められません。
我が党は、これまで幾度となく、デジタル化は国民全体の合意で進めるべきものだと主張してきました。そして、そうしてこそ本当に地上波テレビのデジタル化が成功するのです。破綻が明瞭なスケジュールにしがみつき、無理を重ねることでますます傷口を広げていく政府のやり方を強引に進めるなら、結局、我が国の地上波テレビのデジタル化を失敗に導きかねないということを厳しく指摘して、私の反対討論といたします。