日本共産党

国家公務員退職手当法「改正」案の反対討論

2003年5月27日 参議院 総務委員会 日本共産党 宮本岳志議員

 私は、日本共産党を代表して、国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、高級官僚の天下り、高額退職金に対する措置が極めて不十分だという点であります。

 本改正案は、早期退職特例措置を見直して、事務次官などについては割増しの不適用とした結果、現行八千九百四十六万円が七千八百七万円へと減額になることが予定されています。しかし、例えば一般公務員の一九九九年退職者の平均で二千九百四十八万円、勧奨退職者平均三千八十万円と比べれば、改正後の水準も極めて高額であり、到底国民の理解が得られる水準とは言えません。

 法案には、職員が退職と同時に独法などの役員となった場合の退職金支給を一回とする内容も盛り込まれています。これは、事実上、新たな出向制度を設けるものであり、出向という以上は退職金が一回となるのは当然のことです。しかし、国の事務又は事業と密接な関連を有する業務を担う法人で、国からの役員出向が必要だというのなら、そのような業務をなぜ、わざわざ国の機関から切り離したのかが問われなくてはなりません。一般職員は行政から分離しながら、幹部だけは行政と行き来するというのでは、国民から批判の強い高級官僚の天下りを衣替えして存続させることにもなりかねません。

 反対理由の第二は、一般公務員の退職手当の引下げが、待遇改善の願いに反するものだからです。引下げ率六%は、昨年度実施された本俸二%引下げと合わせると、実際に受け取る退職金額で八%を超える減額となるものです。そもそも、その根拠とされている民間の給与と退職金水準の低下は自民党内閣の失政の結果であり、単純な官民比較を理由として、一般公務員の家計や生涯設計に大きな影響を及ぼす退職金支給水準の引下げを行うことには賛成できません。

 以上、改正案全体としては、高級官僚の特権的待遇は依然として温存され、一方で、一般公務員には犠牲を強いるものであることを申し上げまして、反対討論といたします。


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