日本共産党

「司法制度改革裁判所法等」 反対討論

 2003年5月23日 衆議院 法務委員会 日本共産党 中林よし子議員 

 私は、日本共産党を代表して、司法制度改革のための裁判所法等改正案に対し、反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、弁護士資格特例の緩和が、現行制度の根幹である司法試験合格、司法修習終了という資格条件の例外を拡大するものであり、お手盛りで司法修習の形骸化を進め、さらに、新たな改革である法科大学院構想に基づく法曹養成制度にも矛盾するものであるからです。国会議員等に形だけの研修を課すという与党の修正案も、本質は全く変わるものではなく、反対であります。

 とりわけ、特任検事に対し、司法試験、司法修習抜きで弁護士資格を与えることは、合理的理由が全くないだけでなく、民事に関して十分な知識があるとは言えず、刑事に関しても検察の側からの視点しか訓練されておらない者に弁護士資格を付与することは、到底認められるものではありません。

 反対の第二の理由は、外国法事務弁護士に対して、日本法弁護士を雇用できるように改めることです。

 これは、アメリカの長年の強い要求であり、日弁連はもとより法務省当局も反対してきたものであり、認めることはできません。弁護士のみに与えられた法律事務に関しては、雇用主たる外国法事務弁護士といえども干渉してはならないとしていますが、現行の共同関係と違って、雇用関係になった場合に、不干渉が守られる保証はありません。

 何といっても、日本弁護士を雇用しようとしている外国法事務弁護士は、アメリカの数百人、数千人という弁護士を抱えた大ローファームであり、アメリカの巨大多国籍企業の海外での収奪を支える仕事を専らにする巨大法律会計企業であり、これらの本格的な日本への進出に道を開くものであって、到底認められません。

 現行の共同でさえ危惧されてきたもので、日本の法廷にアメリカの営利第一主義の法理を持ち込むものであり、日本弁護士の自立をも脅かし、弁護士法の理念にも影響を及ぼしかねません。

 なお、非常勤裁判官制度の創設、弁護士の綱紀、懲戒手続の整備は、司法の国民的基盤の強化につながるものであり、賛成です。

 また、簡裁事物管轄の百四十万円への拡大は簡裁の人的基盤の充実が、さらに、弁護士の営利業務従事制限の緩和は弁護士の社会的使命の強化などが、それぞれ欠くべからざる前提であることを付言しておきます。

 以上で、反対討論といたします。


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