私は、日本共産党を代表して、国立大学法人法案等関連六法案に対する反対討論を行います。(拍手)
六法案は、日本の大学、学問研究のあり方を方向づけようとするものであり、最も慎重な審議が必要です。ところが、文部科学委員会において、わずか五日、法案審議は十三時間余りで、古屋圭司委員長の職権による採決が強行されたことに、私は怒りを込めて抗議するものです。(拍手)
反対理由の第一は、自主的であるべき大学の中期目標を文部科学大臣が定め、教育研究への国家統制を行うことです。
これは、戦前においても行われたことがなく、世界にも全く例を見ません。
文部科学省に設置される大学評価委員会及び総務省によって、中期目標、中期計画がどれだけ達成されたかが六年ごとに評価され、その評価が運営費交付金の配分に直結し、さらに、文部科学大臣が大学の廃止、民営化を含めて措置を講ずるとされています。
自由濶達に、長期的な展望を持って培われるべき研究の創造力、とりわけ基礎研究が危機にさらされることは明白です。
第二は、大学、高専の教職員を教育公務員特例法から除外していることです。
一九六三年、最高裁大法廷判決は、「大学における自治は、特に大学の教授その他の研究者の人事に関して認められ、大学の学長、教授その他の研究者が大学の自主的判断に基づいて選任される」と判示しています。
ところが、この法案では、学外者を含む学長選考会議が学長を選考し、学内構成員の大学運営への参加は教学面に限定され、職員、学生、院生などが大学運営に参加する仕組みはありません。大学教職員の公務員としての身分を奪うことと相まって、大学の自治の形骸化をもたらす危険があります。
反対理由の第三は、国立大学の設置者を法人とし、国の財政責任を後退させることです。
附属病院の長期借入金一兆三千億円を各国立大学法人に振り分け、償還させる。これは、国の返済責任を各大学に転嫁するものです。世界一の高負担となっている学費負担がこの法案によってさらなる負担増をもたらすことは、決して許されません。
法人化に伴って、労働安全衛生法の適用となりますが、法が要求する基準を満たして明年四月一日の移行日を迎える保証はなく、全国の大学、高専の教職員、学生、院生等の安全と健康は守れません。
「独立行政法人は、定型的な業務にこそふさわしく、大学の教育研究にはなじまない」、これは一九九七年における文部大臣の見解です。遠山敦子文部科学大臣は、国立大学法人の組織、運営の基本部分で独立行政法人通則法の規定を準用することにより、みずからの前任大臣の当然過ぎる見解を弊履のごとく投げ捨てました。この間、大学の将来を憂慮する学部教授会の批判的決議が相次いでいます。大学関係者の合意は、いまだなされていません。
学問の自由、大学の自治、日本の将来を損なう六法案の廃案を要求し、私の反対討論といたします。(拍手)