私は、日本共産党を代表して、政府提出の電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
本法案の提出は、電話事業を基本として考えられた第一種と第二種に区分して規制する電気通信事業法の枠組みが、巨大インターネットプロバイダーなどの第二種電気通信事業者が登場するような、インターネット、ITの進歩に合わなくなったということが背景にあります。
現在、世帯の八割以上がインターネットを使うまでに至っていると言われていますが、これまでの規制緩和、競争政策によって情報通信分野の消費者トラブルは増加し続けています。そのような状況のときに、この電気通信事業法の枠組みの破綻にどのように対応するのかが今問われております。
反対の第一の理由は、本法案が、消費者トラブルをなくすどころか逆に増やす可能性が大きく、電気通信事業の健全な発展に逆行するものだからであります。
本法案は、単純な規制緩和、競争導入論によって、料金・契約約款の事前届出義務の原則廃止、参入、退出の許認可の廃止などを進め、結局、料金やサービス内容はもとより、激増している消費者からの苦情処理も、個人情報保護や通信の秘密も、事業者任せにするものであります。これで、ITの普及と国民的な発展にとって欠かせないだれもが安心して利用できる環境を整備するという問題を政府自身が放棄することになります。
反対の第二の理由は、公共性の高い電気通信事業の利用者の間における不公平が一層拡大するおそれがあるからであります。
本法案では、公共性の高いNTTやKDDI、日本テレコムのような多くの国民が利用している第一種電気通信事業に、今まで認められなかった相対契約を認めることになっております。このことによって、電気通信事業者による大口利用者の獲得競争を激化させ、大口利用者の割引分のツケを小口利用者に押し付ける危険性があります。
また、料金・契約約款に関する規則を原則的に廃止するということは、今でも分かりにくい携帯電話やインターネットなどの料金体系を一層不透明なものにし、利用者に不利益をもたらします。
反対の第三の理由は、参入・退出規制の大幅緩和は、通信事業者の倒産や売却などによる個人情報の大量流出という危険を大きくするからであります。
政府案では、ある事業者が退出しても、他の事業者が同種のサービスをしているから問題ないと規制緩和を進めますが、倒産などの退出によって、通信事業者が保有する個人情報が大量に流出する危険があることに対して、全く無防備な内容であります。
今必要なことは、インターネット時代にふさわしい消費者保護や個人情報保護、通信の秘密など、新たな規律を作ることであります。そうしてこそ電気通信事業の健全な発展があることを指摘し、私の討論を終わります。