日本共産党を代表して、職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
今回の改正案は、労働者派遣事業における対象業務や派遣期間の制限という、これまで常用代替への歯どめとされた措置を大きく崩すことによって、財界、大企業などの求める一層の規制緩和の要求にこたえるものであり、到底認められません。
反対する第一の理由は、派遣期間の延長や制限外しが、派遣労働は臨時的、一時的な労働力という現行派遣法の考え方そのものを変質させ、常用労働者を減らし、雇用も収入も不安定な派遣労働への置きかえをさらに進めることになるからです。
第二に、物の製造への派遣労働の解禁は、偽装請負など、横行する違法派遣の実態を事実上容認するだけでなく、製造現場での正社員、派遣労働、請負などさまざまな労働者の混在を広げることで、安全面を含め、労働条件の悪化を生みます。これは、物づくりの技能の継承、発展にも重大な困難を持ち込むものです。
第三に、事前面接、履歴書送付を認める紹介予定派遣は、派遣先企業は派遣労働者を選別できないという現行派遣法の原則を崩し、労働者に選別と採用差別をもたらします。また、派遣期間が試用期間としての性格を持ち、正社員への採用を口実に、過酷な労働の押しつけや、使い捨ての事態すら生みかねません。
さらに、雇用契約の申し込みの義務化では、派遣先の雇用意思が前提とされ、違反した場合の是正措置も現行の規定と変わらず、その実効性は期待できません。安全衛生に関する措置の改定なども、労働条件の改善としては余りに貧しいものです。
労働者派遣事業をめぐっては、派遣元、派遣先での違法状態が広く見られ、その上、指導監督行政に改善すべき数多くの問題があります。こうした現状のもとでは、派遣事業を拡大する法改正ではなく、違法状態をなくし、現行派遣法と関係法令の遵守、周知徹底、指導監督の強化こそ求められます。
また、職業安定法の貸金業等の職業紹介事業の兼業禁止規定の削除も、サラ金など無法な取り立ての横行と一体の強制的な労働に道を開く危険を持っており、容認できません。
最後に、労働者派遣法、職安法の一部改正案の廃案を重ねて求め、反対の討論といたします。(拍手)
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