日本共産党

成田国際空港株式会社法案に対する反対の討論 (大要)

 2003年5月21日 衆議院 国土交通委員会 日本共産党 大森 猛議員

 私は、日本共産党を代表して、成田国際空港株式会社法案に反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、成田空港について、その設置、管理を現在の公団方式から株式会社方式に変更し、民営化することであります。これは、第一種空港における国の責任を大きく後退させ、空港経営を民間に任せるものにほかなりません。

 現在黒字になっている成田空港を民間に任せることは、財界の大もうけを保証するものであります。着陸料を三割から五割下げても、上場すれば株式の価値は四千億円から五千億円になるという調査さえあります。株式の売却や閉鎖的な空港での飲食など、商業施設での収益も巨額になることは想像にかたくありません。

 さらに、成田の黒字で関西国際空港や中部国際空港などの膨大な赤字を埋めて、国民からむだと浪費と批判されている関空二期工事や中部国際空港建設工事につなげることなどのねらいがあると言わざるを得ません。

 さきに国土交通省が持ち出した三空港一体化・上下分離方式は、政府・与党、航空業界からも異論が出て破綻をしましたが、そのかわりとして、関西国際空港株式会社への補給金の創設、伊丹空港の着陸料引き下げとともに、本法案によって、公団を株式会社に移行させ、民営化する道がとられました。日本経団連は、公団の出資金を株式にかえて、その株式の売却益を、空港整備特別会計を通じて関空第二期工事等に重点的に引き当てるとの提言を出しており、本法案は、それに全面的にこたえたものと言わざるを得ません。

 反対の第二の理由は、空港の環境対策や周辺の生活基盤事業が後退させられる危険があることであります。

 成田空港は、設立経過からして、空港騒音等における環境対策や生活基盤整備は公団の重要な業務として実施されてきており、今後とも継続しなければならないものであります。この業務は現在でも不十分であります。事業実施主体が公団から株式会社に変わることは、利潤追求を第一とする経営に変えることであり、そのために、非収益事業で、かつ経営を圧迫することになる環境対策や生活基盤整備が切り捨てられることになるのは必至であります。

 以上で、反対理由を申し上げ、反対討論を終わります。(拍手)


このほかの討論 → 【討論一覧】 (156通常国会 2003年 1/20〜)

国土交通委員会の質問と討論の一覧】 【5月21日の質問一覧


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