私は日本共産党を代表して「国立大学法人法案」など関連六法案について反対の討論を行ないます。
わが国の高等教育の大改革といわれながら、法案の審議は参考人質問二日を入れてたったの五日というのでは立法府としてはあまりにも無責任といわなければなりません。「審議はつくされた」どころか「審議されなければならない多くの課題が残された」のです。「独立行政法人メディア教育開発センター法案」などは全く審議されないまま採決されようとしています。あまりにも無謀ともいえる委員長職権による採決の強行に厳しく抗議するものであります。
この間の短い審議にもかかわらず「国立大学法人法案」は憲法に反する欠陥法案であることが浮き彫りとなりました。
大学の中期目標を文部科学大臣が定めるなどということは世界に例を見ません。また中期計画について文部科学大臣の変更命令に従わなかった場合20万円以下の過料が課せられるという異常なものです。
その上、中期目標や中期計画がどれだけ達成されたか、文部科学省内に設置された国立大学評価委員会で評価された上に総務省内に設置された政策評価・独立行政法人評価委員会の評価を受けなければなりません。そして中期目標終了時、すなわち六年ごとに文部科学大臣は「廃止、民営化を含めて」「所要の措置を講ずる」としているのです。これでは、「大学の自主性・自律性」どころか、憲法に保障された「学問の自由」「大学の自治」を奪う教育・研究への国家介入、統制強化法にほかなりません。
しかも、国が立てる目標を忠実に実行できるように学長の独断専行体制の確立とともに学外者の権限を極端に肥大化させているのも問題です。
さらに、一兆三〇〇〇億円もの巨額の債務を附属病院を持つ国立大学法人に押し付けることや、労働安全衛生法という労働者の生命と安全を守る国の基準を満たさず、違法状態のままで出発せざるを得ないことも明らかとなりました。
まさに法案は、わが国の高等教育機関の発展と国民の教育権を危うくするものです。このような欠陥法案は廃案にすべきです。民主党の修正案についても国による大学の設置責任放棄、財政責任の法人への転嫁、教職員の身分問題など政府案と基本的スキームは変わらず、反対せざるをえません。
この間、大学の行く末を憂慮した多くの大学人がこの委員会傍聴に駆けつけています。また学部教授会の「批判的決議」があいついで上げられているようにこの法案の大学関係者の合意はなされていません。国立大学協会が六月十日に総会を開き意見を集約するといっています。自主性・自律性を言うならば、法案をおしつけてはなりません。このことを強く指摘し、討論とします。