私は、日本共産党を代表して、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律案に反対の討論を行います。
本法案によって、出会い系サイトで売買春等の誘引の書き込みをしただけで児童に罰則が科せられるのは、児童を保護するという法案の目的に矛盾すると言わざるを得ません。児童買春など本来児童が被害者として扱われるべき諸犯罪において、誘引行為を切り離して児童を処罰の対象にすることは、犯罪に巻き込まれるのは児童にも落ち度があると、児童にも責任をかぶせようとするものです。これは、児童売買春はあくまで児童を買った大人の責任とする児童買春禁止法や子どもの権利条約、ストックホルム宣言などの画期的な精神を後退させるものであり、容認できません。本来は児童を問題行動に追い込んでいる環境や風潮をつくり出している大人の責任こそが問われるべきであり、本法案第九条で事業者に対しては児童の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止措置を努力義務にとどめているのは、大人の責任をあいまいにしていると言わざるを得ません。
また、規制対象の定義は範囲が広過ぎるのではないか、捜査方法など警察の職権が不明確で、サイト開設者や児童のプライバシー・通信の秘密が不当に侵され、市民生活への過剰規制につながるのではないかという不安もぬぐえません。犯罪被害の防止と捜査の効率性を対立的な構図として解決せず、国民の諸権利と調和した適切な規制方法のためにも、定義や職権について一層の明確化が求められることを指摘して、反対討論を終わります。(拍手)