日本共産党

独立行政法人都市再生機構法案に対する反対の討論 (大要)

 2003年5月14日 衆議院 国土交通委員会 日本共産党 瀬古由起子議員

 私は日本共産党を代表してただいま議題になりました「独立行政法人都市再生機構法案」に反対する討論をおこないます。

 反対する理由を申し上げます。

 その第一は、「改正」によって創設される「機構」が「都市再生機構」という名前にあらわれているように、業務の中心を工場跡地や企業の遊休地の開発に移そうとしているからであります。現に、政府が指定した「都市再生緊急整備地域」では民間プロジェクト立ち上げなどゼネコン、デベロッパーを応援する事業を推進しています。そして、「民業圧迫」を口実に公共賃貸住宅建設、供給から完全撤退するものであるからです。

 政府の統計調査によっても最低居住水準未満という劣悪な住居に住んでいる世帯はいまだに224万戸(5.1%)にのぼり、そのうち民営借家が135万戸に達しています。このような世帯に良好で低家賃の公共賃貸住宅を供給することは依然として必要であります。公団の廃止は、少なくとも現在まで76万戸の公共賃貸住宅を供給してきた公団の役割を放棄するといっても過言ではありません。

 しかも、現在すすめている「土地有効利用事業」では、大企業の不良債権化した土地を含め、112地区113.8haの土地を3265億円もの巨費を投じて、取得し、事実上の企業救済をおこなっています。本案に基づく、「機構」はその事業をいっそう大規模に継続しようとしているのであります。

 第二は、公団に居住している現居住者の「居住の安定」を図る保証がないことであります。本案の審議の過程で、公団内部資料では、家賃の値上げも含めた「家賃増収の取組み」が検討されていること、建替え事業では、戻り入居しか住宅を建設せず、それによって生れた余剰敷地は民間に売却する方針であることが明らかになりました。しかも重大なのは、賃貸住宅事業での毎年3000億円もの収益は、バブル期以降に購入した3381haに及ぶ塩漬け土地購入費の利払いに、その一定額がまわされていることが明らかになったことであります。

 高齢化、低所得化のなかで大変な思いをして家賃を払っている多くの居住者はもちろん、国民にこうした事態をもたらした責任や問題点を明らかにしないまま、現在の公団を廃止し、あらたな機構をつくることは到底許されないことです。

 長期不況のなかでホームレスも増えています。国民に居住不安を与える今回の法案に反対することを表明して討論を終わります。


このほかの討論 → 【討論一覧】 (156通常国会 2003年 1/20〜)

国土交通委員会の質問と討論の一覧】 【5月14日の質問一覧


日本共産党の国会活動

「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。


著作権:日本共産党中央委員会 
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp