私は、日本共産党を代表して、証券取引法等一部改正案に反対する討論を行います。
反対理由の第一は、本法案が、個人金融資産を預貯金から株式等証券市場へシフトする目的で、証券会社の要求に沿って、投資家保護規制を一層後退させ、販売チャンネルの多様化を進めるものだからです。
多発する証券不祥事が示すように、現在の金融市場は極めて不公正な状況にあります。証券市場の健全な発展のためには、消費者保護法制を整備し、国民の信頼を回復することこそ求められています。
反対理由の第二は、証券仲介業の解禁が、仲介を行う外務員の不祥事を防ぐ方策が不十分なまま実行されようとしていることです。しかも、損害が発生した場合の認定や証券会社による補償の実行に関し、証券会社に有利、消費者に不利な制度となっていることです。
また、本法案は、ラップ口座に関し、不正行為防止の対応措置を図らないまま、一方的に現行の書面交付義務を撤廃しており、反対であります。
第三は、証券取引所の保有株式制限の緩和についてであります。
自主規制機関である証券取引所は、当然、公正中立な存在でなければなりません。しかし、株式会社化後の大阪証券取引所が上場審査、取引参加者審査などで不正行為を働いた上、自浄能力を発揮できないでいる状況が示すとおり、株式会社化によって取引所の公正性、公共性が弱まる状況が生まれております。その中で保有株式の制限緩和を行えば、特定株主の支配力を強め、今以上に取引所をゆがめることになります。これは認められません。
なお、いわゆるリモートメンバーシップや取引所持ち株会社の導入については、規制、監督が困難になって不正取引を防ぐ機能が弱まり、一般投資家に被害が及ぶ懸念があります。
以上の理由から本法案には反対であることを申し上げ、討論といたします。(拍手)