私は、日本共産党を代表して、政府提出の電波法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
反対理由の第一は、今回の電波利用料額の改定が、既に破綻が明確になっている二〇一一年に地上アナログテレビ放送を打ち切る前回の改正を前提にしたものだからであります。
地上デジタルテレビ放送の進捗は、総務省自身の見通しから見ても既に二年近くおくれており、デジタルテレビの普及計画は到達不可能な目標であります。円滑なデジタル化のために、小手先の改正ではなく、二〇一一年地上アナログテレビ打ち切りを含む地上放送デジタル化計画全体の見直しを行うべきであります。
第二は、今回新たに放送局に電波利用料を追加する根拠及びその利用料額の算定方法が、法律としての一貫性と客観性を欠くものだということであります。
今回持ち出されたアナログ地上放送を円滑に継続できる受益という考え方が正しいものであれば、前回の法改正時に提案されていなければなりません。ところが、アナ・アナ変換費用の見積もりが大幅に狂ったことを理由に、新たな受益を後になってつけ加えています。まさに一貫性、客観性を欠く欠陥法案です。逆に、前回この受益を認識しながら見送ったのであれば、本来放送局から徴収すべき電波利用料を免除したことになります。放送行政の公平性だけでなく、言論機関である放送局への不透明な利益供与となり、放送行政の根本にかかわる大問題です。
第三に、利用者、消費者からの不安が残っている段階で、無線機器の技術基準適合証明に係る規制緩和は認められません。
なお、民主党提出の電波法改正案は、オークションの導入を内容とするなど考えを異にするものであり、反対ですが、通信・放送委員会設置法案は、放送行政の透明性の確保という観点から望ましいものであり、賛成です。
最後に、改めて、破綻した二〇一一年地上アナログテレビ打ち切りを含む地上放送デジタル化計画全体の見直しを強く主張いたしまして、反対の討論を終わります。(拍手)