日本共産党

雇用保険法改悪案の反対討論

2003年4月24日 参議院 厚生労働委員会 日本共産党 小池 晃議員

 私は、日本共産党を代表して、雇用保険法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 雇用保険は、失業者の生活の安定と再就職の促進を目的としており、その在り方は国民生活を左右し、経済にも大きな影響を与えます。失業期間が長期化するなど、今日の厳しい雇用情勢の下で、政府には国民の勤労権の保障と雇用保険制度の拡充をする責任があります。構造改革で失業者の増加を前提とする経済政策を進めながら、失業者の命綱を断ち切ることなど断じて認めることはできません。

 反対する第一の理由は、この法案が雇用保険財政を一層危機に陥れるものだからです。

 雇用保険会計の悪化の原因は急激に進むリストラにあります。こんなときに、給付削減が四千百億円、二年後の保険料引上げによる負担増が三千億円に上る雇用保険制度改悪などもってのほかであります。本法案による大規模な給付の削減と負担増が消費を冷え込ませ、景気の足を引っ張り、その結果、雇用保険財政の悪化という悪循環に突き進むことは余りにも明白です。国の政策で失業者が増大しているのですから、国が責任を持って失業者を支えるのが当然であり、国庫負担を引き上げて、給付削減、保険料引上げを撤回すべきであります。

 第二の理由は、失業者の生活に深刻な打撃を与え、求職活動を困難にするからです。

 基本手当削減の対象は、賃金月額十二万六千三百円以上のすべての受給者を始め、実に九三・五%の受給者に及びます。特に給付率の下限の六〇%から五〇%への引下げは、再就職が困難な中高年失業者の生活に深刻な打撃となります。また、受給期間の見直しなどによって、失業手当を受け取る実人員が月平均六万人も減らされます。手当額の削減だけでなく、受給実人数を減らすことなど到底許されません。

 第三の理由は、早期再就職の促進の名の下に、低賃金、不安定雇用への労働力移動を促進するものだからです。

 今回の改悪は、失業給付と再就職時賃金の逆転現象の解消を理由として、基本手当の削減を実施し、常用雇用以外の再就職を進める就業促進手当を新設し、地域平均賃金の八割の条件でも紹介を拒否すると給付制限を掛けるなどの厳格化を受給者の責務の法文明記とともに進めています。これでは雇用保険制度そのものが一層低賃金、不安定雇用を促進する手段にされてしまいます。正に今回の改悪は雇用保険制度の重大な変質にほかなりません。

 最後に、このような重大な法案を趣旨説明を含めわずか二日の審議で採決することに強く抗議をし、私の反対討論を終わります。


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