私は、日本共産党を代表して、特許法等の一部改正案に対する反対討論を行います。
反対する理由は、特許審査請求料の大幅引き上げが、中小企業やベンチャー企業、個人の発明家の出願、審査請求を抑制することになるからです。
審査請求期限の短縮などの制度改定を背景として、審査請求が増加し、審査対象の滞貨の増大、処理期間の長期化が見込まれています。これに対して、この法案は、出願料や特許料の引き下げと同時に審査請求料を二倍に引き上げることで審査請求を減らすとともに、請求取り下げに対して請求料を一部返還することで処理件数の削減をねらったものです。
しかし、審査請求料の大幅な引き上げは、大企業に比べて資金力の脆弱な中小企業やベンチャー企業、個人などの出願と審査請求を抑制することにつながります。これでは、未曾有の不況のもとで、特許権に基づくオリジナリティーで生き残りを図る中小・ベンチャー企業に大打撃を与えることになりかねません。
政府は、中小企業に対する負担軽減措置を拡充するとしていますが、その実態は、法人税を納税し、あるいは設立後一定期間を過ぎた中小企業には適用されないという大変狭いものになっています。アメリカの小規模団体優遇制度のような抜本的な制度の導入を真剣に検討するべきです。
また、この法案に対して、昨年の知的財産基本法の国会審議の中で与党が再三強調してきた、出願人の負担を考慮し、プロパテント政策を強化し、国際競争力を確保するという言明にも反するものであり、アンチプロパテント政策だという批判まで出ていることも指摘しておきます。
最後に、迅速な審査を実現するためには、何よりも審査官など審査体制を抜本的に拡充することが不可欠であることを改めて強調し、討論を終わります。(拍手)