私は、日本共産党を代表して、住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。
今回の法案は、住宅金融公庫の目的、業務に、貸付債権の譲り受けまたは貸付債権を担保とする債券等に係る債務の保証関係を追加するものですが、同時に、附則において、平成十九年三月三十一日までに、別で法律の定めるところにより公庫を廃止し、公庫からその権利及び業務を承継する独立行政法人を設立するために必要な措置を講ずることを定めるものであります。
これらの措置は、国民の住宅取得、住生活の安定、居住水準の向上等にそれなりの役割を果たしてきた住宅金融公庫を、特殊法人合理化計画に従い、融資業務を民間金融機関にゆだね、住宅債権を証券化する証券業務を新たに行うものです。そのことを前提にして住宅金融公庫の独立行政法人化を附則に盛り込んでおり、国民の住生活に大きな影響を与えるものであります。
以下、反対理由を申し上げます。
反対の第一の理由は、いわゆる特殊法人等改革の一環として、国民の不安や反対を無視し、公庫を独立行政法人に移行させるために、国民の住宅取得にそれなりの役割を果たしている住宅金融公庫を廃止する期日だけを先行して附則で規定しているからであります。まだ議論もしていないのに廃止を前提にすることは、国会軽視と言わなければなりません。
第二の理由は、今回の改正で新たに導入される証券化支援業務は、特殊法人整理合理化計画の趣旨に従い、公庫融資の段階的縮小の一環として行われるものであります。住宅金融公庫融資は、長期、固定、低利等という特徴を持った融資制度であり、その縮小は、住宅を取得しようとする国民に大きな影響を及ぼし、住宅資金供給機関としての公庫の役割を縮小するもので、国の住宅取得支援策の大幅な後退であり、金融機関にそれをゆだねるものであるからであります。
第三の理由は、金融公庫の証券化支援業務は、リスクをすべて公庫に転嫁し、民間金融機関にとっては、みずからの住宅融資に係るリスクがほとんどなくなるなど、金融機関に一方的に有利な制度であるからであります。この仕組みは、市場金利が上昇すれば債券市場の縮小を招き、債権が売れず、公庫が抱え込まざるを得なくなるなど、すべて公庫に負担をかぶせるものとなっています。この制度の大もとのアメリカでは、金利変動によって、日本の数倍の公的資金を投入している事実を見ても明らかであります。
第四に、住宅担保ローンが民間主体となることで、融資抑制や選別融資などの事態も考えられ、その結果、町場の住宅需要を縮小させ、町場の工務店等の経営に悪影響を及ぼすことも考えられることであります。
以上、反対の理由を申し述べて、反対討論といたします。(拍手)