日本共産党を代表して、雇用保険法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、失業給付の大幅な削減です。今回の給付額の削減は、賃金月額十二万六千三百円以上の受給者すべてが対象とされ、広範な受給者に影響を及ぼします。とりわけ、給付率の下限を六〇%から五〇%へ引き下げることは、半世紀以上も維持してきた給付率六〇%の水準を大きく割り込み、中高年サラリーマン層の生活の安定を著しく損なうものです。失業の長期化など、失業者の現状に即した対策を考えるなら、給付日数の短縮でなく、延長こそ検討すべきです。
反対する第二の理由は、保険料率の引き上げです。法案は、雇用保険に係る保険料率を二年後に一・六%へ引き上げ、その後一・八%への引き上げまで可能とするものです。保険料率は、昨年十月、一・四%に引き上げられたばかりであり、被保険者にとって受け入れられるものではありません。
雇用保険会計の悪化の背景には、未曾有の失業をもたらした政府の失政があります。国庫負担を昨年度より千七十八億円も引き下げておきながら、一方で保険料率の引き上げを決めることは、失政のツケを国民に押しつけることにほかなりません。
反対する第三の理由は、早期再就職の促進の名のもとに、低賃金、不安定雇用への労働力移動を促進することです。常用雇用への再就職を促進するための手当を常用以外の再就職も促進する手当につくりかえること、また、給付と再就職時賃金の逆転現象の解消を理由とする基本手当の削減を実施することは、基本手当の給付総額の抑制のために失業者を再就職へと追い立てようとするものです。
こうした政策は、失業者が適職や希望する労働条件に見合った職につくための求職活動の環境を保障しないばかりか、結局、低賃金と不安定雇用を促すものであり、雇用保険制度の重大な変質をもたらす危険があります。
さらに、本法案は、失業給付のほか、高年齢雇用継続給付、雇用継続給付等の諸手当を含め、総額三千百億円の給付減と三千億円の負担増をもたらすものとなっています。
最後に、城島正光君外四名提出の雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案は、必要な給付水準確保のための国の責任にかなうものであり、求職者の能力開発を支援することから、賛成するものです。
以上、討論を終わります。(拍手)