私は、日本共産党を代表して、産業再生機構法案とその関係整備法案並びに産業活力再生法改正案に対する反対討論を行います。
まず、産業再生機構法案と関係整備法案についてです。
反対の理由の第一は、産業再生機構が、過剰債務に対する銀行の債権を政府保証の資金で買い取ることにより、銀行が本来負うべき企業再生のリスクを肩代わりし、最終的に損失ができれば公的資金、国民の負担で穴埋めする仕組みだからです。
質問で明らかになりましたように、非メーン銀行だけでなくメーン銀行からも買い取る要管理債権中心と言いながら、破綻懸念先債権も購入するとしています。結局、銀行は、五百億円程度の機構への拠出金で十兆円の不良債権を購入してもらい、二次損失を国民に押し付ける仕組みであることは明らかです。
第二に、不良債権処理加速策の一環として打ち出された産業再生機構は、不良債権の査定を強化させ、銀行に対して不良債権処理の加速に拍車を掛け、過剰債務企業の選別、切り捨てを迫る受皿としての役割を担うもので、産業再生の名の下に多くの企業を破綻に追い込むものだからです。
これでは産業再生どころか、産業に対する破壊的な作用を促進する触媒の役割を果たすことになります。また、産業再生機構が再生支援する企業においても、強力なリストラが推進され、ここでも労働者、中小企業に犠牲が押し付けられることは明白であります。
次に、産業活力再生特別措置法改正案についてです。
反対の理由の第一は、企業のリストラ計画を政府が認定、支援する事業再構築計画の制度を含めて延長するものだからです。
産業再生法施行以来の三年半の間に、七万人以上の人減らし、リストラ計画が認定され、その支援のために六百六十億円も登録免許税の減税が行われてきたことを質問で明らかにいたしました。このように、国民の税金を使ってリストラを支援する制度の延長は断じて認めることはできません。
第二に、支援の対象を共同事業再編計画、経営資源再活用計画、いわゆる他力再生の営業譲渡まで拡大することは、大規模なリストラを促進するものだからです。
認定企業に対する税制上の優遇税制の対象を、リストラされる労働者への退職金の割増し部分なども追加することは、希望退職の名によるリストラを促進させるものにほかなりません。企業の税負担を軽減し、人減らしそのものを国が支援するなど、到底容認することはできません。また、過剰構造から共同設備廃棄を認め、事実上の官製の不況カルテルを認める結果、中小企業や下請企業、地域経済が更に切り捨てられることは明らかです。
不良債権処理の加速策を撤回し、日本経済の主役である中小企業の経営を支え、国内総生産の六割を占める個人消費を温める政策に転換してこそ、経済再生の道も開かれることを改めて指摘しなければなりません。
なお、産業再生機構法案の衆議院での修正部分について、雇用への配慮など評価できる点もありますが、機構の本質を変えるものではないことを表明して、反対討論といたします。
このほかの討論 → 【討論一覧】 (156通常国会 2003年 1/20〜)
【経済産業委員会の質問と討論の一覧】 【4月1日の質問一覧】
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