私は、日本共産党を代表して、社会資本整備重点計画法案及び社会資本整備重点計画法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する反対の討論を行います。
反対理由の第一は、膨大な浪費と国と地方の借金の増大、汚職、腐敗の温床、更に環境破壊を引き起こしている公共事業に対する国民の厳しい批判に本法案は真っ正面からこたえるものになっていないということであります。
アメリカの対日圧力とこれに便乗して作られた公共事業基本計画によって公共事業の投資規模を六百三十兆円にまで拡大されましたが、国土交通省関係の公共事業もこれに合わせて次々と増額され、その予算を消化するために、道路、スーパー堤防、スーパー港湾の整備などに巨額の投資を注ぎ込み続けています。また、環境破壊のダム建設などに典型的に表れているように、走り出したら止まらない住民無視が続けられています。大型開発優先から生活密着型の社会資本整備に切り替えよというのが国民の圧倒的な声であります。本法案がこれにこたえていないことは審議の経過からも明らかであります。
反対理由の第二は、本法案が、東京湾や伊勢湾など日本列島に新たに六つの巨大な橋を建設する道路事業とか、膨大な、莫大な公共事業予算を食いつぶす首都機能移転など、壮大な無駄と浪費の温床になっている国土総合開発計画、いわゆる二十一世紀の国土のグランドデザイン、いわゆる五全総との調和を求めていることであります。これでは無駄な公共事業は絶対になくなりません。
反対理由の第三は、本法案の基本理念が、大企業、財界が求めている社会資本整備の名による新たな浪費を合理化し、推進する根拠にされるということであります。例えば、基本理念の第一に掲げられている国際競争力の強化や民間活力の看板で進められるのは、その必要性と採算性が大問題になっている関西国際空港の第二期工事や中部国際空港の建設であります。また、国の直轄事業での地方負担が一向に改善されないことも明らかになりましたが、これは地方公共団体の自主性を尊重するとしている本法案の基本理念の実効性のなさを示しています。
本法案は、看板を掛け替えても公共事業の総量はそのままにして、かつ国と地方の関係も基本的に変わらず、借金体質も温存し、環境破壊に歯止めが掛からない、こういうものであることが明らかになりました。この点を指摘して、反対討論といたします。