日本共産党

義務教育国庫負担法「改正」案の反対討論

 2003年3月27日 参議院 文教科学委員会 日本共産党 林 紀子議員

 私は、日本共産党を代表して、義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、この改悪案が義務教育に対する国の責任を後退させるからであります。

 義務教育費国庫負担法は、義務教育無償の原則にのっとり、国民のすべてに対しその妥当な規模と内容とを保障するため、国が必要な経費を負担することにより、教育の機会均等とその水準の維持向上とを図ることを目的としたものです。これらの経費は、地方財政法第十条でも「国が進んで経費を負担する必要がある」と規定されているように、国の責任で措置すべきものです。今回削減される共済費長期給付及び公務災害補償基金負担金に要する経費は、教職員に当然の必要な経費という点では、給与本体と同様に必要な経費であり、これらの削減は義務教育に対する国の責任を後退させるものと言わなければなりません。

 反対理由の第二は、義務教育に関して、地方に負担を押し付け、自治体の財政負担を増やすことにつながるからです。

 政府は、今回の国庫負担削減の地方財源への手当てについて、地方特例交付金二分の一、地方交付税二分の一により全額措置するとしています。しかし、一般財源化そのものが国の責任の放棄であり、その使い道も色が付いていないとされるものであります。さらに、交付税特会借入金は五年後より償還を求められ、その四分の一は地方負担とされ、全体の八分の一、約二百七十三億円が地方負担となることも問題です。

 反対理由の第三は、義務教育費国庫負担制度全体の見直し、一般財源化に道を開き、教育の機会均等や義務教育無償の原則が崩されかねないからです。

 義務教育費国庫負担制度については、経済財政諮問会議や地方分権推進会議などの中で、地方交付税制度の見直し、国庫補助負担金の廃止・縮小、国から地方への財源移譲の三位一体改革の中で議論されてきたものです。今回の削減が合意された昨年十二月の総務、財務、文部科学の三大臣による合意では、二〇〇六年度末までに国庫負担金全額の一般財源化について所要の検討を行うことも併せて合意されています。これは、義務教育費国庫負担制度全体の一般財源化に道を開きかねないものです。

 今求められることは、国庫負担金制度を堅持充実し、国の責任で少人数学級の実現など行き届いた教育を実現することです。このことを指摘して、私の反対討論を終わります。


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