私は、日本共産党を代表して、二〇〇三年度公債特例法案、所得税法等一部改正案及び民主党提出の修正案の三案に対する反対討論を行います。
最初に、公債特例法案について反対の理由を述べます。
来年度の赤字国債発行額は、当初予算としては過去最高の三十兆二百五十億円となり、国債依存度は四四・六%に達し戦後最悪となるなど、記録ずくめの異常な国債発行となります。小泉内閣が約二年間進めてきた構造改革は、失業率、勤労者所得、あらゆる経済指標を悪化させ、税収不足を招きました。その穴埋めのための巨額国債発行には断じて賛成できません。これが反対する第一の理由であります。
第二の理由は、小泉内閣が自らの失政を省みず、財政危機を国民への負担増で糊塗する路線を暴走している下で、不況の深刻化、税収不足、国債増発の悪循環を加速させ、財政再建を一層困難なものにするからです。
次に、所得税法等一部改正案についてであります。
反対する第一の理由は、本法案が深刻な経済危機の下で苦しむ国民や中小企業に対し、戦後初の本格的な所得税増税となる配偶者特別控除の上乗せ部分廃止、発泡酒、たばこの増税、消費税の免税点引下げや簡易課税上限の引下げ等によって、地方税も合わせて一・七兆円もの負担増を押し付ける許し難いものであり、社会保障改悪による負担増と相まって、冷え込んだ家計消費に追い打ちを掛け、景気を一層悪化させるからです。
第二の理由は、先行減税、多年度税収中立という本法案のキーワードが大企業・資産家優遇、国民いじめにほかならないからです。法人税の研究開発・整備投資費減税、株式譲渡益・配当課税や相続税・贈与税減税など、減税となるのは専ら大企業を中心とした勝ち組企業、資産家です。そして、多年度税収中立は、七年間で庶民から八兆円以上を奪い取り、先行減税の穴埋めと恒常的な増税を図るもので、国民に更なる痛みを押し付ける許し難いものです。
第三に、本法律案が小泉内閣が進める国民いじめの抜本的税制改正の第一弾と位置付けられていることであります。配偶者特別控除の上乗せ部分廃止は、所得税の課税最低限引下げの第一歩であり、消費税の中小企業特例措置の縮小などは、消費税率引上げに向けた条件作りであります。戦後に築かれた直接税中心、総合・累進課税、生活費非課税など税制の民主的原則を根本から破壊する小泉税制改革のあるべき税制は、断じて認められません。
また、今回の改正案には、NPO支援税制の一定の改善や住宅ローン減税の再適用制度の創設など、賛成できる項目も含まれていますが、以上の理由から全体として反対するものであります。
なお、民主党提出の修正案については、酒・たばこ増税や消費税の内税方式の削除など、それ自体に限れば賛成し得る側面もありますが、政府案の重大な改悪部分を修正するものでなく、全体としては賛成できません。
以上、三案に対する反対討論を終わります。